クラシック音楽にも流行があると思う
これは感覚的なもので、統計をとったわけでもなく、エラい先生が言ったことを聞いたわけでもない。まったくの私のひとりごとと聞き流していただいて、結構である。
ただ、なんとなくではあるが、クラシックの曲についても流行があるような気がする。
昔はもっと人気があったのに、今はそれほど聞かないなぁ、という曲としてたとえば・・・
「乙女の祈り」:オルゴールには必ずはいっていた。
「月光 第一楽章」:これはバレンボエムが、動画で「最近はちょっと 飽きられたようで」といってたのを見た。でもどの動画だったか、探す気力がない。
そして「ショパン ノクターン2番OP9-2 変ホ長調」である。
ショパンコンクールでノクターン2番を選ぶひとはいるのか
ノクターンの中でも、そしてショパンの作品のなかでも技術的に易しい部類にはいるためか、私も小学校の中学年ぐらいでレッスンで習ったと思う。そして、ショパンコンクールの出場者で、これを選ぶひとはほとんどいないのではないか?
少なくとも、ピティナが発信している下記サイトによると、2021年ショパンコンクール予備予選において、ノクターン選択数の1-11位までのなかに2番OP9-2 変ホ長調は、はいっていない。
コンクールの曲としては易しすぎて、技術力を発揮できないからか?これは単なる私の想像である。
しかし、昭和のあの当時、ノクターンと言えばこの曲だったように思う。もちろん、「戦場のピアニスト」なんて映画はもっとあとになってからだったから、20番の「遺作」なんて音大生とか、クラシック通でないと知らなかったのではないか。
そしてノクターン2番がなぜ、そんなに人気だったかと言えば、映画「愛情物語」で使用されたからだと思う。
映画「愛情物語」とは
Wiki によると、映画「愛情物語」とは、1956年のアメリカ映画。
1930年代から1940年代にかけて活動した実在のピアニスト、エディ・デューチンの伝記映画で、主役を演じたのは美男で当時有名だったタイロン・パワーと同じく美貌のキム・ノヴァクだった。
そしてこの映画の音楽を担当したのが、ポピュラーピアニストのカーメン・キャバレロ。そうそう、この人は私の若いころまでずっと有名だった。
どういうスタイルだったかというと、もう豪華絢爛、キラキラピカピカ、これ以上ないというほどの装飾音もてんこ盛り。このひとがアレンジした、ショパンのノクターン2番が昭和のあの頃、大流行りしたのだ。
この映画をみてピアニストになったひともいる
私が20歳のときに初めてジャズピアノを習ったA先生は、映画「愛情物語」に触発されてピアニストになった、と聞いている。
先生が神戸商船大学(現:神戸大学)に在学中だったとき、卒業後は船乗りになるつもりだったのだが、練習航海で長崎を訪れたおり、たまたまはいった映画館でこの映画を観て大いに感激し、ピアニストを志望するようになったと聞いた(先生は熱血漢だったので、このハナシは何度か聞いた)。
それほどまでに若い人に夢と希望を与えた、カーメン・キャバレロのピアノ、そしてショパンのノクターン2番。
最近はあまり話題になってないと思うと、なんだか寂しい昭和のどまんなか生まれである。