「断捨離」を初めて耳にした日
初めて「断捨離」ということばを耳にしたのは、たしか2015年ごろだったと思う。
なぜかというと、私はそのころ職歴最後にあたる、英会話教室の受付をしていたときの思い出につながるからだ。
ロビートーク、とはつまりロビーで交わされる雑談で、授業の前後に講師と生徒のあいだで交わされる英会話を指す。
授業の前後だから授業料には関係なく、このロビートークを制する社交的な生徒さんは、どんどん英会話が上達する仕組みだ。
ある日、私は若い女性と男性外人講師の会話を、自分の受付の席で、聞くともなく、聞いていた。
たぶん、男性外人講師は日常会話の常套句で、
「日曜日は何をしていましたか?」と女性に聞いたらしい。
すると女性は、私のほうをむいて、
「ゆめこさん、ダンシャリって英語でなんて言うんですか?」と聞いたのだ。
私はダンシャリという日本語は初めて聞いたので、「英語、わかりませーーん」の意味で、首を左右にふったのだが、本当はそもそも、その日本語がわからなかったということで、うろたえていたのだ。
でもあれから7年。
断捨離ということばを知らない人は、ほとんどいないだろう。
もともと捨てることが好きだったけれど
私はもともと、捨てるという行為が大好きだ。
古い書類、雑誌、ノートなどを捨てると、これまでの自分がチャラになって新しく生まれ変われるようで、快感すら覚えるほどだ。
洋服などはもともとそれほど興味がないから、新しく買うことは珍しいのでたいして増えることはない。
しかし両親が亡くなったときと、関東から兵庫県南部への引っ越しは大変で多くない荷物をさらに減らす必要があった。
その断捨離が行き過ぎて、のちに私は以下の本とCDを買いなおすはめになってしまった。
断捨離後悔その1 「メアリー・ポピンズのお料理教室」
P.L.トラヴァーズ作のメアリー・ポピンズシリーズは私が小学生のときの愛読書である。
どこがそんなに好きだったのかというと、メアリー・ポピンズがかける魔法よりも、本にでてくる「木イチゴ・ジャムのケーキ」「羊飼いのパイ」「ショートブレッド」などのイギリスのお菓子に憧れたからである。
そんな美味しそうなものには出会ったこともない、昭和の子どもだったからねぇ。
「メアリー・ポピンズのお料理教室」が出版されたのは、私が成長してからだったが、いくつかのレシピを試したのち、これらが珍しい料理でないことがわかってから捨ててしまった。
ところが、捨ててしまってから大後悔。
子どものときのメアリー・ポピンズへの憧れ感も捨ててしまったようで、アマゾンマーケットプレイスで買いなおしてしまった。
断捨離後悔その2 「風と共に去りぬ」
作家の林真理子さんが、近ごろの若い人は「風と共に去りぬ」を読まない、と言っておられるのをどこかで読んだ。
たしかにそんな気がする。
でも、これやっぱり面白いよ、特に前半の、スカーレットが命からがら、メラニーとともにタラに帰り着くところぐらいまではハラハラドキドキ。
なりふりかまわず生きていく勇気がでるよ!
それなのに、なんで捨てたかって?
そのときはそういう気分だった、としかいいようがない。
断捨離後悔その3 ジャズピアノ3大巨匠のレコード
ジョー・サンプル、ソニー・クラーク、ウィントン・ケリーは私にとってジャズピアノ3大巨匠である。
彼らのレコードを大事に持っていたのに、なぜ両親の遺品整理のときにいっしょに処分してしまったのか?
それはレコードプレーヤーも、もう持っていないし、またCDで聴けるからええわ、と思ったのである。
それでぼちぼちCDを買い戻しているのだが、ジョー・サンプルのクルセーダーズ時代のCDで、なかなか見つからないのがあるのだ。
思い出したときには必ず、中古レコード・CD屋で探しているのだが・・・
ねむいゆめこ:断捨離の法則
私独自の結論:断捨離をする前に、それらとともに過ごした時代も捨ててしまってもいいのか、よおく自分の心に問うてみること。
それでも、こんなんいらんわー と思えば、どんどん捨てよう。
明日から生まれ変われる断捨離術