フランス語学校で「クレープを食べる会」のお誘い
先日、神戸市営地下鉄花時計前駅のストリートピアノを弾いてから、気分よくフランス語学校に到着すると、受付マダムから、「2月23日の祝日に、みんなでクレープを作って食べる会を催します。参加しませんか?」と聞かれた。
「はい、はい、もちろん!」
私はクレープが大好物なのである。さらに言えば、塩味のクレープというか、そば粉でつくったガレットにシードル(りんご酒)があればもっといいのだけれど。いや、多くは望むまい。
東京、神楽坂にある本場のクレープ屋さんは値段が高かったから、そうそう行けなかったし、もう行くこともあるまい。代わりにここで食べるクレープは先生お墨付きの家庭的な味なのかしらん?と期待に胸がふくらむ。
授業料が安すぎ、小規模な学校のことを心配していた
私が月2回、プライベートレッスンで通っているフランス語学校は、よくいえばアットホーム、つまり小規模な学校である。授業料も破格的に安く、これでやっていけるのか、と私はこれまでひそかに心配していた。だって私が行く金曜日の3時前、生徒さんは誰もいない。私が教室を出る4時前、あらたに来る生徒さんに会ったことはこれまで数回しかない。途切れなく生徒さんが訪れるクラシックピアノの先生宅と大違いである。
しかしきょう、このイベントに集まった生徒さんは計11名。よかった!それなりにコアなファンがいるようで、私の心配などよけいなお世話なのだ。
マルディグラ(肥沃な火曜日)にクレープを食べる習慣
さて当日の23日は天皇誕生日で祝日。カーニバルを意識してお面をかぶった先生をみんなで囲んで、どうしてマルディグラ(肥沃な火曜日)にクレープを食べる習慣が生まれたのか、などの座学が始まったのだが、ここでも私の驚きが待っていた。
いつも私とのプライベートレッスンで見せる、「ちょっと憂鬱で皮肉屋」の顔ではなく、グループを前にしての独演会では、先生はコメディアンに変身していたからである。
先生「この時期、フランスではよく仮装をしますよ! たとえば金持ちが貧乏人になったり、男性が女性になったりするんです!」
女性らしく、しなを作る先生に一同爆笑。でもそれがあまりに真に迫っていたので、私はあまり笑えなかった・・・
生徒たちは焼くだけ、食べるだけのクレープ
座学が終わってから、おまちかねのクレープタイムとなったが、ほとんど全部受付マダムが準備していてくれた。生地はすでに昨晩から寝かせ済み。私たちはホットプレートか電磁コンロに火をつけて、たまじゃくしにすくった生地を流し込み、焼けるのを待つだけである。
中にいれる具も彼女がバナナの斜め切り、いちご、ホイップクリームを用意してくれていた。お好みに応じて、マーマレード、ヌテラ、メープルシロップもある。
なんの難しさもないクレープ作りであったが、それでも先生のようにうすーく黄金色に焼くのにはある程度コツがいるようだった。ましてや先生の得意技であるフライパン返しなど、私などにはとてもマネができない。
私がかろうじてできたのは、焼けかけたクレープの中央にお箸を差し込み、ひっくり返すことだけだった。そう、錦糸卵をつくる要領である。ちらしずしも満足につくれない私だが、ちょっと料理をつくる自信がでてきた!
先生と受付マダムの「残業」を心配する
私が食べたクレープは3枚。他のみなさんもそれぐらい食べたと言っていた。おいしい紅茶もふるまわれ、使用した皿、コップはどれほどか(紙製にしたらよかったのに)。わたしたち生徒が帰ってから先生と受付マダムはふたりであれを片付けるのだろうか?私はまたしても心配になってしまった。参加料¥1,650でモトがとれるのだろか?もうこんなしんどいことは今後やめよう、とか二人で言っていないだろうか?この良心的なフランス語学校の存続を願う私はついつい、あれこれ心配してしまうのだ。




お好みならマーマレード、ヌテラ、メープルシロップもおすすめ!