近畿地方、台風上陸前夜
これを書いている今、接近する台風のせいか庭の木々が悲鳴をあげているようだ。
明日は近畿地方に上陸するかも?という天気予報だが、そもそも私が生きていた66年の間、お盆の時期に台風が上陸したなんて聞いたことがないと思うのだが?
40度に近い酷暑、お盆台風、コロナと最近は聞いたことがないことが起こるものだ。
明日予定していたお墓参りも延期とし、家でピアノを弾くぐらいしかないのだが、今現在とっても弾きたい曲が見つからず、つらつらと英国王立音楽検定の課題曲選びについて考えてみた。
英国王立音楽検定でシューマンを選ぶ理由
12月はオラフソンのコンサートと日程がかぶらない限り、英国王立音楽検定を受験しようと思う。
そのための課題曲選びだが、以前の記事にも書いたようにこの検定、なかなかクロウト好みで課題曲に知っている曲が少ない。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
カテゴリーAではバッハを弾くことに決めているからこれはいい。
しかしカテゴリーBもCも知らない曲ばっかりなので、モチベーションがあがらずに困っている。
とりあえずカテゴリーBは、聞いたこともない作曲家:
ホフマン、マルミオン、ピリング、ヘラー、モンポウ、パフルスキ、グリエール、レーンは除外とさせていただき、
聞いたことのある作曲家:
のなかから、聞いたことのある課題曲、シューマンの「子どもの情景」から第1曲の「見知らぬ国と人々について」に決めてしまおうと思う。
さて、気になる難易度は?というとピティナステップでいうと応用7~発展1なので、とりたてて難易度が高い曲ではない。
バリバリ弾けるちびっこなんてごまんといるだろう!
そして、これが最も肝心な点かもしれないが・・・私はこの曲が大好き、というわけではないのだ。どちらかというと「退屈で単調なメロディー」にしか聞こえない。
こんなので練習できるのか?
リストの娘のお気に入り曲
ところがこの曲が大好きなひとが19世紀にはいた。
フランツ・リストの娘である。
リストには娘が2人いて、そのうちの一人がのちにワーグナーの妻となったコジマである。
だからどちらの娘が「見知らぬ国」のファンだったかは調べていないのではっきりしないが、Wikiにはこうある。
彼(フランツ・リスト)は「この曲のおかげで私は生涯最大の喜びを味わうことができた」とシューマンへの手紙に書き、週に2、3回は娘のために弾いていると明かしている。「この曲は娘を夢中にさせますし、またそれ以上に私もこの曲に夢中なのです。というわけで私は、しばしば第1曲を20回も弾かされて、ちっとも先に進みません。」
へぇ~、ピアノの魔術師のリストがこんな簡単な曲を20回も弾け、と言われたら普通ならキレてしまうのではないか?
あくまで愛しい娘のためのサービス、と思うと、これまであまり人間的魅力を感じなかったリストも、「いいひとなのかもしれない」と思えてくる。
アルゲリッチのアンコール曲
というわけで、これまであまり興味のなかった「見知らぬ国と人々について」だが、このひとが弾いているのを聞いて、「お!やっぱりやっといたほうがいいかも?」と思い始めた。
このひととは、マルタ・アルゲリッチである。
彼女はシューマンのピアノ協奏曲イ短調作品54のあとのアンコールとして、この曲を心を込めて弾いていた。
そう言えば、彼女の3女が撮った映画「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」のなかで、シューマンの音楽がいちばん心に響く、とアルゲリッチが言っていた。
そうだ、「見知らぬ国と人々について」の旋律が単調に聞こえる私は、きっと何もわかっていないだけなのだ!