インプラントのねじがゆるんだ?
私は約3か月に1回、歯石除去のため、歯科医院の定期健診に通っている。
その歯医者さんで先日言われたのだが、「奥歯2本のインプラントのねじがゆるんでいるため、処置をしなければならない。しかしねむいさんのインプラントは当院では扱っていないメーカーのため、取り寄せが必要になるかもしれず、そうすると1本につき5万円ぐらいはかかるかもしれない」と言われ、仰天した。
私がインプラントにしたのは、当時住んでいたさいたま市の医院で、そこでいちばん安い日本製のインプラントにしたのだが、それでも計56万円かかった。
そのインプラントには3年保証がついていて、3年のあいだに不具合があれば無料で直していただけるのだが、家に帰って保証書を確認してみると、期限は今年の5月で切れていた!
ああ、私は2本で10万円払うことになるのか!!
夫がねじを締めてあげるというが
ところが後日、歯科医院から電話があり、インプラントの上蓋を開けてみて、手持ちのドライバーで合いそうだったら、1本につき11,000円で済むという。
要するにドライバーの問題?
この話を夫にしたら
「じゃあ、僕が持っているドライバーで歯のねじを締めてあげるよ。
アンリ・サルバドールの『Le blues du dentiste』みたいに!」
と言って、手元のドライバーをちらつかせるのが、しばらくウチでのギャグとなった。
不思議な「Le blues du dentiste」の和訳
私はアンリ・サルバドールの名前は聞いたことがあったのだが、具体的に彼のヒット曲名も挙げられない。
だからフランス人なら誰でも知っている、と夫がいう「Le blues du dentiste」のことは、夫に教えられて初めて知った。
ところがネットの日本語訳では「Le blues du dentiste」が「歯医者さんの白衣」となっている。
だが夫がいうには、この歌は断じて「白衣」とは関係がなく、あえて訳すと「歯医者さんブルース」だそうだ。
そう、1960年代に一世を風靡した「受験生ブルース」のブルースと同じブルースである。
では日本語訳は多分AIの担当として、なぜ間違えたのか?
フランス語では歌のブルースは「le blues (ル・ブルーズ)」
反してお医者さんなどが着る白衣は「la blouse (ラ・ブルーズ)」
男性・女性名詞の別はともかく、発音は同じでも綴りは違うから、ここで間違えたのに違いない。
AIも人間臭い間違いをするものだ。
アンリ・サルバドールとレイ・チャールズのデュエット
この「Le blues du dentiste」をアンリ・サルバドールとレイ・チャールズがデュエットしているヴァージョンをYouTubeで見つけた。
サルバドールはフランス語、レイ・チャールズは英語で交互に歌っているのだが、12小節のブルース形式のためか、まったく違和感を感じない。
キーはB♭だから、私は下記のコードでブルーノートをいれまくり、動画と一緒に弾いてとっても愉しかった。
|B♭ |E♭7 |B♭ |B♭ |
|E♭7 |E♭7|B♭ |G7 |
|Cm7 |F7 |B♭ |B♭ |
「Les blues du dentiste」の歌詞はブラックユーモア
この歌詞はブラックユーモアが面白いので、フランス語オリジナルヴァージョンの拙訳をお届けする。
歯医者さんブルース:
今朝起きたら歯がめっちゃ痛くってさ、オーララ
ウチを飛び出して泣きながらデュランのことろへ行ったのさ
奴は歯医者だから何とかしてくれるだろうと思ってね
待合室はひとであふれかえっていてね
ストレッチャーに載せられた真っ青なオトコが屈強な男たちに
運ばれていくのをみたのさ
それで逃げ出そうと思ったら看護師が「次の方!」って叫ぶんだ
俺は歯医者の前に立ち、アホみたいに笑っちまった
奴は俺を椅子に押し倒し、「行くぞ!」って叫んで手にはやっとこを持ってるんだ
俺の足はフロマージュ・ブロンみたいにふにゃふにゃになっちまったよ
まだため息もつく前なのに
奴は俺の歯を1分もたたないうちに3本も抜いちまったぜ
俺の可哀そうな歯は墓場行きさ
2本はいい歯で前歯だっていうのにさ
奴はバナーで俺の顔を焦がし、大きなコップに水を注ぎ
「借金を返せ」とぬかすんだ
きのう給料をもらったばかりなのに、奴は俺のカネを全部ぶんどって
返したのはたったの50フランさ
そして奴は笑いながら言うのさ
「俺は歯医者なんかじゃない、配管工さ!ご近所は助け合わなくちゃ!」
今や俺の歯は全部なくなっちまった
俺の女になんて言えばいいんだい
やめてくれ、ああやめてくれよ