次のレッスンからは「中国行きのスロウ・ボート」
きのう行ったボーカルレッスン。
お題は前回と同じ「One Note Samba」で、2回やったら次の曲に移ることになっているので、もうこれは終わり。
次の曲として譜面が配られたのは「On a Slow Boat to China」、訳せば「中国行きのスロウ・ボート」。
言わずと知れたポップス&ジャズのスタンダード曲である。
しかし私は譜面を見るまでどうしても思い出せなかった。
そして譜面を見てもなぜか「ああ、これこれ!」という気分にならない。
そう、私にとっては「中国行きのスロウ・ボート」とは、あくまで村上春樹の短編集なのだった。
「中国行きのスロウ・ボート」にでてくる中国人
「中国行きのスロウ・ボート」には表題の短編とともに短編が数編収録されている。
しかし私はどうしても他の短編が好きになれない。
特に「貧乏な叔母さんの話」は嫌いだ。
まるで自分のことを言われているような気がするので。
そして「中国行きのスロウ・ボート」がなぜ好きかといわれると・・・
この短編には筆者村上春樹自身がモデルと思われる男性が、これまでの人生で出会った3人の中国人の思い出話が書かれている。
まず一人目。
「僕」が中国人学校で模擬試験を受けたときの試験監督。
この中国人学校とは元町駅北にある中華同文がモデルであることは間違いないだろう。
私もソフトボールの試合で中学時代に行ったことがある。
そして二人目
「僕」がバイト先で知り合った女の子。
中国人だが、ずっと日本で育っている。
「僕」は彼女とデートするのだが、彼女を山手線の逆方向の電車に乗せたばかりでなく、彼女の電話番号を書いた紙マッチを誤って捨ててしまった!
それ以降、彼女には会えていない。
三人目は高校の同級生
私はこのキャラがいちばん好き。
彼は昔のことならなんでも、その時の天気、気温、匂いまで覚えている。
だから通りを歩いていてかつての同級生(村上春樹)がカフェにいるのを認めて、声をかける。
職業は中国人相手に百科事典を売るセールスマン。
ここまでくると、どこまでが村上春樹の実体験なのか、フィクションなのかよくわからない。
ただなんとなくかつての同級生の話はフィクションで、何かのメタファーという気がする。
だって「僕」が「余裕ができれば百科事典を買うよ」といったとき、
「そのころには百科事典から足を洗って、中国人相手に生命保険を売っているかも」というオチが笑えるから。
私がこれまでに会った中国人
ここで私は今まで何人の中国人にあったか考えてみた。
68年も生きて生きたのに、そして中華系住民の数も多い神戸で生まれ育ったのに、会ったと言える中国人は一人しかいない。
それは高校の同級生である。
大学も同じ大学だった。
本当なら私の出身校からその大学へ行く人数はごく限られているから、親しくなってもおかしくはないはずだった。
なのに彼とはあまり話をしたことがなかった。
なぜなら無口だったし、端正な顔立ちにもかかわらず、というかそのせいかもしれないが、「女子なんか知らん」というそぶりをしていた。
ところが彼とは去年の同窓会で50年ぶりに再会し、びっくりした。
第一にみちがえるほど、明るく饒舌になっていたから。
そしていちばんこれがびっくりだったのだが、なんと彼の奥様は現在3人目だそうである。
いやぁ~ 生涯独身が増えている昨今で3人の女性と結婚できるなんてよほどの才能がないとできないことではないか?
そうか。
彼の女性のハートを掴む技は高校卒業以降に習得したものだということがよくわかった。
さぁ、私も感心していないで「中国行きのスロー・ボート」を練習しようっと!