夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ピアノ学習者として忘れたくない短編「ハナレイ・ベイ」の名フレーズ

東京奇譚集村上春樹 新潮文庫

映画「ハナレイ・ベイ」はYouTubeで無料で観た

きのう、村上春樹氏の短編「ハナレイ・ベイ」の映画版についてブログ記事に書くときに、ついでに小説のほうも再読してしまった。

あ、それからきのうの記事で書くのを忘れたが、映画の「ハナレイ・ベイ」は全編がYouTubeにアップされていた。

えーっ こんなのいいのか? 許されるのか?

と疑問だったけれど、タダで観られるお得感の誘惑には勝てず、「面白くない、もうスキップしようか」と思いながらも最後まで見てしまった。

しかし便利な世の中になったものだ。

5年前に封切りの映画とはいえ、家で無料で観られるなんてねぇ。

これをお金を払って映画館で観ていたら、私はブーブー文句をいっていただろう(面白いと思われるかたもたくさんいらっしゃるかと思うので、これは私的感想ということで勘弁してください)

ブログにリンクを貼ろうかと思ったけれど、すぐ削除されそうな気がして、そうなるのもいやだから、結局貼らなかった。

ご興味のあるかた、YouTube内で「ハナレイ・ベイ」で検索してみてください。

すぐヒットするから。

ありそうもない物語でいそうにない?ピアニスト

あらためてこの「ハナレイ・ベイ」が「東京奇譚集」、つまりありそうにない物語を集めたものだとすると、私にとっては主人公のサチこそ、いそうにない?でもいるかもしれない?ピアニストなのだ。

まず、

  • ピアノを弾き始めたのが高校生になってから
  • どんなメロディーでも一度聴けば、すぐ弾けるだけでなく、そのメロディーにあったコードも見つけられた
  • 絶対音感が備わっていたし、耳も人並み外れてよかった
  • レッド・ガーランドビル・エヴァンスウィントン・ケリーなどジャズピアノの巨匠の演奏を採譜することなく、そっくり指で再現できた

おーい、そんなピアニストいるのかい??いたら聴いて見たいわ!

上原ひろみさんだったら上のこともできるのかもしれない。

でも彼女は小さい時からピアノを習っているし・・・

でもそんな天才ジャズピアニスト、サチのことを、村上氏は「コピーしかできないから、プロにはなれない」としているのだ。

あのね、どんなコピーでもできるのだったら、それだけでプロになれると思うよ。

仕事には困らず、少なくともご飯は食べていけると思う。

だから私は、コピー=他人の物まねしかできず、オリジナリティーがないアーティストのことを氏は暗に批判しているのではないか、と思うのだ。

これは何もジャズに限らず、他の音楽分野や文学についても言えるのかもしれない。

「ハナレイ・ベイ」のなかのピアノ関連名フレーズ

「ハナレイ・ベイ」という短編中、たぶんサチのピアノとの関わり方は物語の枝葉にすぎないと思う。

だけれど、私はやっぱりピアノが好きなのか、ピアノに関係するフレーズだと異様に反応してしまうのだ。

そして、この短編中大好きなフレーズは以下の通り。

(引用始め)ー彼女はピアノを弾くこと自体が好きだったのだ。鍵盤の上に十本の指を置くだけで、気持ちが広々とした。それは才能のあるなしに関係のないことだ。役に立つとか立たないとかの問題でもない。私の息子もたぶん波に乗りながら、同じような思いを抱いていたのかもしれない。とサチは想像する。ー(引用終わり)

ここを読むと、私のようなピアノとのつきあい方でも、村上春樹氏が「いいんじゃない?」と言ってくれそうな気がするのだ。