苦手なアクション映画をなぜ観たのか?
私がこれまでどちらかと言えば、見るのを避けてきた映画のカテゴリー順番は、1. SF、2. アクション、3.ホラーになる。
だから今日見たスティーブ・マックウィーンの「ゲッタウェイ」は一般的には、アクション映画と言われているため、いくら人気俳優の映画とはいえ、見たことがなかった。
なのにこれをきょう見た理由は、アクション映画が大好きな、夫ちゃんへのご機嫌とりである。
ところが最初の30分は50年前の映画らしく、状況説明と心理描写が長く、私も夫ちゃんも退屈気味であった。
しかし中盤以降、犯罪場面から地獄の逃走へと移るあたりから、もうハラハラしどうしになる。
そして壊れかけた主人公の夫婦関係の行方もどうなるか、大いに気になってくる。
夫婦は同じ舟に乗ったもの同士として、さまざまな局面に直面した時、いがみあいながら、また協力しながら乗り切っていく、あるいはその前に舟が沈む場合もあるのだが、この映画中の夫、ドク(スティーブ・マックウィーン)とその妻、キャロル(アリ・マッグロー)も同じである。
さすがに私たち一般市民は、銀行強盗も殺人もやらないけどね。
だけど夫婦は「呉越同舟」だから、まあうまいことやんなさい、とこの映画から言われている気がしたのである。
あれ、例えが古すぎるかな?
喧嘩しながら助け合いながら逃走する二人
妻のキャロルが町の有力者と不倫したのは、夫を助けるための駆け引きのひとつだった。
なのに夫のドクは、容姿のスマートさとは裏腹に、嫉妬に駆られて妻に手をあげ、何かにつけてネチネチと蒸し返す。
そんな夫に「このことはもう忘れて!」といいつつ、妻は「あなたを助けるためならテキサス中の看守とも寝たわ」とたんかを切る。かっこえぇー。
強盗で得た現金50万ドルを抱えての逃走中、二人は何度も別れ話を持ち出しながら、銃撃戦を生き延び、ゴミ収集のトラックのなかにまで逃げ込む。
二人が荷台にいることに気づかないトラックの運転手は、収集のレバーを押したり引いたり、そのたびごとに私は二人がゴミのなかで窒息死するのでないか気が気ではなかった。
このあたりまではまさに「俺たちに明日はない」のボニーとクラウドと変わりはない。
だから私は最後はこの二人、ハチの巣をつついたような銃弾に倒れるのかと思っていた。
ホッコリするラストシーンで胸をなでおろす
古い映画なので見た方も多いだろうし、映画専門ブログでもない、ということで甘えさせていただくのだが・・・ここでネタバレ!
この二人はラストシーンで、気のいい修理屋のおじさんとの取引に成功するのだ。
おじさんは二人に
「あんたらは夫婦か?」
と聞く。
そうだ、と答えるとおじさんは満足気に、自分にも長年連れ添った古女房がいるが、夫婦の関係は大事にしないと、と諭すように言う。
結局、二人はおじさんからトラックをもらい受け、プラス口止め料として、3000ドルを支払い、新天地のメキシコを目指すのだ・・・
というわけでめでたし、めでたし、一件落着??
余談だが、この映画がきっかけで結婚したドク役のスティーブ・マックウィーンとキャロル役のアリ・マッグローはのちに離婚している。
やはり映画や小説といったフィクションはある場面だけを切り取るからいいのであって、現実はそうは行かない、というのが難しいところであろう。
映画音楽はトゥーツ・シールマンスのハーモニカ
さて、この映画の音楽。
スティーブ・マックウィーンがジャズ系の音楽を推したということで、担当はクインシー・ジョーンズである。
メインの楽器はハーモニカで、吹いているのはベルギー出身のハーモニカ奏者、ギタリスト、口笛奏者のトゥーツ・シールマンス(1922-2016)。
この映画とは直接関係はないが、このかたの口笛があまりにもすばらしいので、それがよくわかる動画を下に貼らせていただいた。
いや、すごいよ。絶対びっくりすること請け合い!