忘れていた名曲「Calling you」
先日、NHK BSで放映されていた映画「バグダット・カフェ」は1980年代、渋谷のミニシアターで初公開され、売れる要素が何もなかったのにもかかわらず、ロングラン上映を続け、80年代を代表する映画になったらしい。
私は観たことも、そんな映画が存在したこともまったく知らなかったので、初めて観たのだが、しょっぱなから主題歌を聞いて驚いた。
知ってる、知ってる、この曲! 大ヒットした曲やん!
「I am calling you」という歌詞がミステリアスなメロディーに乗って繰り返される、タイトルも「Calling you」という曲は、セリーヌ・ディオンやジョージ・マイケルにもカヴァーされている名曲だったのだ!
なんで私はこの曲のことを今まで忘れていられたのだろう?
映画「バグダット・カフェ」のあらすじと予告編
さて、この映画自体どんな映画というと、あらすじをざっくりご紹介。
ラスベガスに通じる幹線道路の砂漠地帯にぽつんと建つ、ガソリンスタンド兼モーテルの「バグダット・カフェ」。切り盛りしているのはガミガミ屋の妻ブレンダで、夫はついに家出してしまう。入れ替わるように店にやってきたのは、夫婦喧嘩で夫の車から飛び出してきた中年の太ったドイツ人女性、ジャスミン。最初は彼女に警戒心を抱いていたブレンダだが人の心を和ませる魅力をもったジャスミンのまわりにはいつしか人の輪ができ、店にとってなくてはならない人物になるのだが・・・
ずっとバッハの練習をしているブレンダの息子
「バグダット・カフェ」を経営しているのは黒人一家だし、アメリカ西部の砂漠にバッハというのも、ハナシを聞いただけではピンとこないかもしれないが、実はこの映画、頻繁にバッハが聴ける映画でもある。
というのもブレンダの息子が、カフェでしょっちゅうピアノの練習をしているのだ。
それも演奏というよりも確かに練習で、反復であったり片手練習なのだが、基本、客のいないときであればいつ弾いてもいいことになっている。
そして驚いたことに彼は赤ん坊の父親であり、じゃあ仕事は何?
ただピアノを弾いていればいいの? わからん。
彼はバッハを崇拝しており、バッハの肖像画も飾っている。
そして突如現れたジャスミンがバッハと同じドイツ人であることから彼女に好意を抱き、「彼女だけが僕の音楽をわかってくれている」と言うのだ。
下の動画は彼の弾くバッハ平均律1番をうっとりと聞きほれるジャスミンに、これまた彼女に恋するヒッピーあがりの老画家が彼女に見惚れるシーン。
マジックショーの場面も楽しい!
「バグダット・カフェ」に長期滞在している間、ジャスミンは手品の腕を磨き、店には彼女のショーを目当てに大勢の人がやってくる。
そしてブレンダや彼女の娘も参加するショーのピアノ伴奏は、バッハばかりを弾いていたあの息子なのだ!
彼はここではラグタイムを弾いているが、間奏ではバロックっぽい旋律を入れることも忘れない。
とどのつまり、映画「バグダット・カフェ」とは、心温まるストーリーを土台に、音楽も映像も30年前のものとは思えない斬新な映画だったのだ!