夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

西部劇ファンというよりキリスト教徒にオススメな映画「三人の名付親」

1948年のアメリカ映画「三人の名付親」(3 Godfathers)

西部劇はいつまで一大ジャンルだったのか?

私が子どもの頃、つまり1960年代頃までは「西部劇」というのは一大ジャンルとして映画、テレビに君臨していたと思う。

それがほとんどなくなったのはいつ頃なのだろう?

よくわからないが、私のイメージする西部劇では、いつも馬にまたがったかっこいい白人のオトコたちが原住民のインディアンを蹴散らし、これまた白人のカッコいい保安官が大活躍する、というものだったから、今のような人権を重視する社会では到底あり得ない設定だろう。

しかしそうはいっても、開拓者精神と男のロマンに憧れる気持ちはわからなくはない。

だからこそ「荒野の七人」「許されざる者」などの名作が生まれたのだろう。

その西部劇での大スターのひとりが、ジョン・ウェイン

私のBS NHK映画録画コレクションのなかから

「きょうは何があるの」と聞いた夫ちゃんに

ジョン・ウェインの『三人の名付親』があるよ」と言うと

「わ!ジョン・ウェインか! 

そりゃいいな それ見よう見よう!」と小躍りせんばかりだったのだが・・・

映画「三人の名付親」のあらすじ

ここで「三人の名付親」のあらすじをざっくりとご紹介

ならず者のボブ(ジョン・ウェイン)・キッド(ハリー・ケリー・Jr)・ピートの3人は銀行強盗に失敗し、保安官に追われながら水を求めて西部の砂漠を逃走する。途中、打ち捨てられた幌馬車の中から妊婦を発見し、はからずも彼女の出産に立ち会うこととなる。

3人の助けに感激した妊婦は出産した男児の名付親になってくれるよう頼んだのち、力尽きて死亡。彼女を弔ったのち、赤ん坊の世話を焼きながら灼熱の砂漠を歩き、逃亡を続ける3人の男たちはいつしか妊婦の残した聖書のことばに導かれ、神への道を歩むかのように変貌していくのだが・・・

たしかに男たちが荒野を全速力で馬を走らせる場面は見ごたえがある。

だってCGのない時代でしょ。

現代の映画だったら、「どうせこれCGじゃん」とソファーにもたれてポテトチップスを食べていられても、当時の実際の人間が(仮にスタントマンであったとしても)砂埃をあげて馬を走らせているとなると、居ずまいを正して直視してしまうのだ。

しかし砂嵐の場面では、夫ちゃんが

「これだけ風が吹いていてカウボーイハットが飛ばないのはヘンだ!」

と言い出した。

なるほどね。

やはり当時でも何らかの撮影技術があったのかもしれない。

しかしそれにしても西部劇の迫力のすごさを色あせさせるものではないから、やっぱりこれは娯楽西部劇大作というべきだろう。

西部劇というよりキリスト教映画

しかしそれ以上にこの映画は、極東の非キリスト教国の住民からすると、非常にキリスト教的な匂いが強い映画だといいたい。

だいたい「三人の名付親」というタイトルからして、キリストの生誕を祝うためにやってきた東方の三博士を指すことぐらいは容易に察しがつく。

そして銀行強盗を企てるぐらいだからならず者にちがいないのに、偶然助けた妊婦の荷物の中から聖書を発見し、まるで神に導かれたようにニュー・エルサレムを目指す。

でもその前から「汝、盗むなかれ」ということばは知っていたよね?

そして飲み水がほとんどない状態なのに、妊婦の出産を成功させ、新生児を抱いたまま6時間ごとに布に湿らせた水を垂らすだけで逃避行を続けるオトコたち。

これってありえへんよね。

しかし幼子はキリストかもしれないからこれでええんか?

そしてなぜか私は幼子よりも、力尽きて砂漠に倒れたキッドとピートが可哀そうで可哀そうで・・・

ああ、彼らはこのまま骨になるのか・・・

「Beautiful River」という讃美歌

出産後に亡くなった幼子の母親を砂山に埋葬するシーンで歌われるのは、「Beautiful River」という讃美歌で1864年、バブテスト教会の牧師によって作詞・作曲されたらしい。

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日本でも讃美歌として訳されているから、敬虔なキリスト教徒のかたは当然ご存じだろう。

ところが私が知っているのは、讃美歌としてではなく、「たんたんたぬきの~」から始まるいわゆる俗謡であり、転じて大型電気店のテーマソングである。

なんか自慢にならないな。

でもピアノの楽譜がついている下の動画を見つけたから、この映画をご縁にこの聖なる歌の練習をしてみるのもいいかもしれない。

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