シューマン「アラベスク」の動画をYouTubeで漁る
あしたはクラシックピアノのレッスンだが、バッハに時間がかかりすぎてシューマンの「アラベスク」まで見てもらえるのか、はなはだ疑問である。
しかし準備だけはしておかねばならない。
アラベスクは譜読みは終わっているものの、こんなにスラーが多い曲は初めてなので、自分が正しく弾けているかどうか自信がない。
ひょっとして弾かなくてよい音符まで弾いてしまっているのではないか?
こういうのは耳で覚えてしまったほうが早いかもしれない。
というわけでここのところ、シューマンの「アラベスク」を扱ったチュートリアル的な動画を探し回った。
そしたらやっぱりあったね!
検索の上位にははいってこなかったのだが、2008年にマリア・ジョアン・ピレシュ(以下、ピレシュ)が開催したワークショップを撮影したNHKの「スーパーピアノレッスン」という番組である。
昔は素晴らしい番組がテレビであったんだね~
今こういうのがあれば絶対録画して何度も見るのだが、2008年といえばすでに15年前。
私が最もクラシックピアノから遠いところにいた時期である。
あの頃、15年後にはクラシックピアノを毎日弾いているとは、夢にも思わなんだわ。
NHKスーパーピアノレッスン「シューマン アラベスク」
以下の動画、「NHKスーパーピアノレッスン『シューマン アラベスク』」だが、冒頭からしばらくは、ピレシュがその頃居を構えていたサルバドール/ブラジルの紹介なので、興味がなければすっ飛ばしていいと思う。
2:26 あたりからピアニストとしてのピレシュの紹介。
以後、ワークショップに参加した生徒たちの紹介を経て、5:46から「レッスンをはじめるにあたってのメッセージ」。
そして生徒、当時11歳のアルトゥール・ユッセンがアラベスクを弾くのは10:19あたりからである。
ちなみに別に驚きはしなかったが、彼は今ではお兄さんのルーカスとデュオを組む、オランダでは大人気のピアニストに成長していることを知った。
NHKの番組に生徒役で出てくる子供たちは、みな揃いも揃って「神童」と呼ばれるような子どもたちなんだね。
上原ひろみさんも出ていたし。
演奏中に口や肩が動くのはよくないのか?
さてピレシュがユッセンに注意したのは、楽譜上のフレージングなどではなく、演奏中の彼の動きについてであった。
つまり彼はいつも演奏中、口や左肩が動いているのだが、それがピレシュにとってはあまりよろしくないみたいなのである。
私がみた限り、確かに彼の上体が揺れているのはわかるのだが、有名ピアニストでは、もっと揺れたり、前屈の姿勢のかたもいるので、それがそんなによろしくないことなのか、どうにも腑に落ちない。
口にいたっては、わずかに開いているぐらいなので、演奏中に歌うグールドほどひどくはない。
そういうのはグールドだから許されるのか? ああ、よくわからない。
ただ、ピレシュはこう言っている(17:12~)
どうして口や左肩が動くのか、考えてほしい。
無理をして弾いている?
(ここでユッセンはNoと答える)
自然にそうなってしまうのならやめたほうがいい。
動かないのが自然だから。
演奏に必要な筋肉はここ(胃のあたりを押さえながら)
今のうちにその癖は直さないと、年を取るにつれて癖が強くなり、直すのが難しくなってくる。
このアドバイスを聞いた時、私は「なるほど~」と思ったのだが・・・
大人のアルトゥール・ユッセンが弾くブラームス
大人になってからのアルトゥール・ユッセンの演奏動画は結構ある。
そのなかから好きなブラームスの間奏曲を弾いているのを見つけたが、あれ?心なしか演奏中の動作は子どものときからあまり変わっていないみたい?
首はだいたい左にかしげている。
そして下から右上へ大きく円を描くように移動し、口は真一文字に結んでいるようにみえるが、よく見るとムムムと何かを噛んでいるようにも見える。
ピレシュ大先生の教えはどうなったのだろう?
教え通りにやろうと思ったけれど、やっぱり動くのが彼にとって自然だということが彼自身わかってやっているのだろうか?
いずれにしろ、彼の弾くブラームスの間奏曲はステキだから、演奏中の余計な(?)動作と演奏との関係がますますわからなくなってきた・・・