スケールとアルペジオの必要性を説く先生
先日のクラシックピアノレッスンで印象に残ったこと。
先生はさかんにスケールとアルペジオの重要性を私に説いていた。
「どんな楽器だってスケールをやらないではじめられません」
「ここのバイオリン教室だって(先生は自宅をバイオリン教室としても開放している)レッスンは必ずスケールから始めていますからね」
ここで最近、といってももうずいぶん前からスケールとアルペジオの練習は省略している私はどうしてもうつむきがちになる。
しかし名誉は挽回すべきもの、と思った私は、
「毎日、ツェルニー30番とツェルニー左手のための練習曲、モシュコフスキー20の小練習曲のなかから適当に選んで30分くらいやっています」
と言っておいた。
先生は、「よしよし」というようにうなずきながら、
「来年の春には英国王室音楽検定のグレードテストがありますからね。
そのときには必ずスケールとアルペジオをやることになりますよ」
と、とてもステキな笑みを浮かべられた。
音楽之友社のハノンのアルペジオに我慢できない
100%の自信はないのだが、日本でクラシックピアノを習われている方はハノンのなかにある「スケールとアルペジオ」を使われているケースが多いのではないか?
私もそうだったのだが、子どもの頃に持っていた全音から出ているハノンはとうの昔に処分してしまった。
そこで大人になってから、さるYouTuberさんの動画で音楽之友社出版のハノンが勧められていることを知り、それを買いなおした。
ところがそのYouTuberさんが悪いわけではないのだが、音楽之友社のハノンでは、アルペジオが下記のような省略形で書かれているため、私の好みにはまったくあわなかったのである。
この不満たらたらは、過去のブログ記事でも書いた。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
とにかくこの音楽之友社のアルペジオ(アルペッジョ)を見るたびにやる気をうせる私は、ほかの楽譜でスケールとアルペジオの練習をやり直すことにした。
それで見つけたのが、音楽之友社出版、大阪音楽大学編の「スケールとアルペジオ」である。
大阪音楽大学編「スケールとアルペジオ」の特徴
この「スケールとアルペジオ」、ハノンのものとどれほど違うかというと、はっきり言ってそれほど違う点はない。
しかしハノンだとスケールはスケール、アルペジオはアルペジオで別の章になっているのに対し、大阪音大編のだとまず調ありきで、その調に相当するスケール、そしてアルペジオという順になっている。
そして最初のページのほうは2オクターブなのが、後半になると4オクターブになり、クロマチックスケールや3度、6度のスケールが出てくる。
この3度や6度のスケールはなんのために必要なんだろう?
私にはさっぱり意味、重要性がわからない。
音大を目指している方、音大で勉強された方には当然その理由がおわかりなのだろうが、わたしゃさっぱりわかりません。
だからこの本の半分はポイントがわからないため、どう使っていいかわからず、本棚に突っ込んだままになっている・・・
あまりに気に入った「スケールとアルペジオ」の序文
しかしこの本のなかで私が好きなのは「序文」なのだ。
あまりに気に入ったため、下に引用させていただく。
・・・(中略)
音階、アルペジオ等ピアノの基礎技術は毎日欠かさず練習すべきものである。朝起きて顔を洗わず歯を磨かずして朝食をとることの出来る人は少ないだろう。と同様にピアノに向かって一日1回はピアノの基礎技術をしないと、何か忘れ物をしたようで気持が落ち着かないようにならなければ本物ではない・・・
これ、奇妙に説得力がありはしないか?
私なんかはもう、「すんません、私、ホンモノやないんです」とひれ伏したい気分である。
実をいうと、私は朝食(チーズトースト1枚にストレート紅茶)を終えてから歯を磨き顔を洗う、この序文を書かれた先生からすると、行儀も潔癖感もないトンデモないヤツなのだが、まあこれはもののたとえであろう。
この文章に気に障るようであれば、「夜、歯を磨かずに寝床にはいってぐっすり眠れる人は少ないだろう」に言い換えればいい。
とにかくこの先生が言いたいのは、ピアノを習得したいと言っているくせに、スケールとアルペジオを一日1回も弾かずして平気でいられるとしたら、その願いはホンモノではない、ということではないだろうか?
わぁ、私は本当に耳が痛い・・・