夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

歴史は今も作られているを実感した映画「アルゴ」

2012年のアメリカ映画「アルゴ」(Argo)

映画「アルゴ」はアカデミー賞作品賞受賞作品

映画「アルゴ」(ARGO)は、1979-1980年の在イランアメリカ大使館人質事件を題材とした2012年のアメリカの社会派映画で、アカデミー賞作品賞受賞も受賞している。

そんな立派な映画が過去にあったとはまったく覚えていなかった。

記憶の端切れにも残っていないのは、たぶん筋がややこしすぎてついていけないと思って、見ようと思わなかったのだろう。

でもアメリカ大使館人質事件のことは何となくではあれ、新聞記事で連日報道されていたので覚えている。

でも結局エンディングはどうなったんだっけ? 

アメリカにとってはそれほど悲劇的な結末ではなかったよね?

まったく政治にも国際関係にも疎くてお恥ずかしいかぎりだ。

特に1980年といえば、私はなんと24歳。

いまどきのひとにはわからないだろうが、当時は24歳というとクリスマスケーキが売れる最終の年。

もうまわりがうるさくて、売れる予定がまったくなかった私にはいろいろと大変な時期で、とてもじゃないがイランやアメリカどころじゃなかったわ。

まったく今の若い人がうらやましいよ。

総合的に映画「アルゴ」はすばらしい映画

実際のところ、映画と歴史的事実は多少食い違う点もあるようだが、これだけは断言できる。

政治オンチ、国際関係&外交オンチな私でも「アルゴ」はハラハラドキドキの連続で、観ているあいだ、緊張で口のなかが乾くほどだった。

全体的には勧善懲悪物ではなく(アメリカの悪いところも何度も指摘されている)、CIAがヒーローのおめでたすぎる映画でもない。

いってみればエンタメの部分と、社会的な部分、歴史的な部分がうまーくミックスされていて、アメリカとイランの対立問題にさほど詳しくない観客の興味もうまく引き出してくれるすぐれた映画と言えると思うのだ。

映画「アルゴ」の予告編

www.youtube.com

映画「アルゴ」で気になった点

それでもあれっと思った点をあげてみよう。

架空のSF映画ロケハンをでっちあげ、みごとアメリカ大使館の6人の救出作戦を成功させたのはCIA工作員の一人、トニー・メンデスという実在の人物である。

映画では白人俳優が演じていて、ニューヨーク出身って言っていたっけ。

けれでも実際のトニー・メンデスさんは下の写真でわかるようにヒスパニック系なのだ(ちょっと見たところ、中東系にも見えないか?)

やっぱりこの映画の主役、CIA工作員としてヒスパニック系の俳優さんを起用するのはふさわしくなかったのかなぁ。

当時のカーター大統領(右)と握手するトニー・メンデス(左)

もうひとつ気になるというか、知りたい。

アメリカ人大使館員たちをかくまっていたカナダ大使私邸では、イラン人のメイドさんが雇われていた。

彼女は彼らがイラン政府から追われている身であることに気づいていたが、「お客様はイランの味方です」といって密告しない。

そしてアメリカ大使館員6人が無事離陸し、カナダ大使夫妻もイランを離れたあと、彼女はイラクに亡命することが示唆されている。

果たして彼女の身は無事だったのか?

CIAよ、アメリカの利益だけ追わずにこんな功労者は老後の面倒までみてやってほしいものだ!

ニジェールとフランスの関係で今おこっていること

この映画をみているとき、夫ちゃんが

ニジェールではフランス大使が監禁されて、この映画のようなことが今まさに起こっているんだよ、それって日本のニュースでやってる?」

「うーん、少なくともNHKの午後7時のニュースでは何も言っていない」

まあ、確かに日本はアフリカから遠いし、フランスのことに日本人が興味が示す分野はいまやグルメとファッションぐらいだろう。

テレビニュースだって国際問題を扱っていたら視聴率がとれないから、やらないのかもしれない?

そう思うと、歴史は今も作られている。

そしていつもあとになってから私たちは知ることになるのだ。

それだって全部ではないのだが・・・