2018年のNHK「スーパーピアノレッスン」スカルラッティK466
2018年のNHK「スーパーピアノレッスン」でマリア・ジョアン・ピレシュが解説するシューマンのアラベスクは全2回で終わったみたい。
もともとこの動画を見始めたのは、ピティナステップで弾く予定のシューマンのアラベスクを何とかしたい、という思いからでマリア・ジョアン・ピレシュへの格別の思い入れはなかった。
しかし全2回の解説をみて、その内容の濃さに驚き、やったこともない聞いたこともない、スカルラッティK466も見ることにした。
いやぁ~~ この曲、スカルラッティのソナタK466 ヘ短調って涙がでるほど美しいんだね。
来年はぜひ挑戦してみよう!
「スカルラッティK466」でのトリルの弾き方
スカルラッティK466の生徒役は、今はプロのピアニストとして活躍しているシルビア・テレーザさん。
本当にお上手でどこに改善点があるのか、一度聞いただけではさっぱりわからない。
しかしピレシュ先生は「きれいに弾けている」といいながらも、あーだこーだとまあ注文の多いこと!(母国語のポルトガル語で話しているので、よけいに饒舌になったのかもしれない)
特にトリル。
ピレシュ先生がテレーザさんにつけたトリルの注文は以下の通り。
- 7:14 トリルにもう少し芯があってもいいと思うわ
- 7:30 もしかすると速すぎるかも
- 10:50 トリルは気に入らなかったわ
- 12:16 そこのトリル、速すぎるわ ペダルなしでやって、ペダルを踏んでいるようなつもりで
- 13:01 もう少し芯があってもいいわ 鍵盤を上まで上げ切らないで、上までくると音は全部完全にでてしまうわ
うわぁ 細かいな。
しかしよく聞いていると、私の耳でも「あ、今のはいいトリルだな」と思ったとき、先生は「すばらしいわ、生き生きとしてるわ」と誉めている。
やっぱりだてにいろいろとけなしているわけではないのだ。
先生は「こうやって弾くのよ」といいながら、最初はゆっくり、そしてだんだんにトリルの速度を上げていく(14:05)
このとき、カメラは引いて撮っているため、どの指で弾いているのかよくわからない。
しかしそのあと、彼女の左側からのアングルで撮ったとき(14:33)、どうやら1と3の指で弾いているらしいことがわかった(3は鍵盤に対しほぼ直角、1は平行)
しかしどの指でやるかによって音が違うので、どの指でもできるように練習しているとのこと。
私がトリルの練習で悩んでいること
でもピレシュ先生は、だいたいは3と1が多いみたいだな。
じつは井口版のバッハ パルティータでは2と1で記載しているトリルが多く、これがさらに弾きにくくって困っていたのだ。
ひょっとして3と1に替えてしまってもいいかもしれない。
別に罰金をとられるわけではないし・・・
しかしトリルを上達させるためにはいったいどんな練習をしたらよいのだろう。
ハノンでは10番がトリルの準備練習、11番が4と5のトリル準備練習、14番が3と4のトリルの準備、と書いてある。
しかしこれだけでは足らないよなぁ。
ハノン46番解説の不思議
そこでハノン46番。
これは標題からして「トリル」となっている。
そして「モーツァルトは、トリルの練習にこの練習曲を用いたということです」と書いている(全音版)。
この文言は子ども時代の私の胸にも響いた。
まず第一に「あのモーツァルトでもトリルの練習曲をするのか」と驚いたのである。
そして次に、モーツァルトがこの練習曲を用いたということは、モーツァルトとハノンは少なくとも同時代の人だと思ったのだ。
しかし・・・大人になってからわかったのだが、モーツァルトの生年は1756年、没年は1791年。ハノンの生年は1819年、没年は1900年。
ならおかしいやん!
あの書き方では「ワタクシはハノンと申しますが、私のつくった練習曲であのモーツァルトも練習したんですよ、エッヘン!」に聞こえはしないか?
少なくとももし、
「モーツァルトが練習に使っていたといわれている練習曲を、ここでご紹介いたします」なら異論はないのだが・・・
どうも私はしょうもないことが気になって気になって・・・というタイプらしい。