「NHK趣味百科 ピアノで名曲を」で知ったチャイコフスキーの10月
私が初めてチャイコフスキーの「四季」というピアノ曲を知ったのは、とても遅く、1994年に放映されていた「NHK趣味百科 ピアノで名曲を」のなかで「10月 秋の歌」と「11月 トロイカ」が課題曲になっていたからである。
これは当時ソ連の教育者で有名だったヴェーラ・ゴルノスターエヴァさんをピアノ講師に招き、ほぼほぼ天才の日本のキッズたちが生徒役となる、今でいうマスタークラスをテレビで見せるものだった。
課題曲はどれもむずかしげで、ショパンの「革命」とかリストの「愛の夢」とか、スクリャービンのエチュードとか・・・私はとりあえずテキストを買ってきて、自分でも弾けそうなのをひとりで(レッスンはとっていなかったので)練習していた。
やさしそうにみえて表現力が要求される?
そのなかのひとつがチャイコフスキー「四季」のなかの「10月 秋の歌」だったのだ。
テキストの解説には「秋の冷涼感、澄んだ、明るい、ひんやりとしたニ短調」とある。
でも私にしたら自分が知っている10月とはずいぶん違った、悲しみに満ちたやるせないメロディーだと思った。
だって、日本で10月と言えば、体育祭・文化祭などのイヴェントが目白押しで、「食欲の秋」「芸術の秋」「天高く馬肥ゆる秋」でしょ!
なんかずいぶん違うではないか?
ではこの曲がキライだったのか、と言われればまったくそうではない。
いやぁ泣かせるメロディーではないか!
悲しくて淋しくて、ココロが溢れる涙で溺れそう。
儚い希望をもつこともあるが、それもつかのまのできごとで、最後にははてしない絶望の淵に落ち込んでいくよう。
落ち込んだ気分のときにはもってこいの作品である。
そしてピアノ学習者にとって嬉しいことに、ちょっと見た限りでは全然難しそうではないので、譜読みはすいすい進む。
しかしこの曲はピティナステップのレベルでは最高の展開1-3にランクされているのだ!
ということはよっぽどの表現力が要求されるということだね。
たぶん今の弾き方では全然ダメだろうね。
チャイコフスキーコンクール優勝者の「10月 秋の歌」
よし、ここはやっぱりロシアのピアニストさんのを聞かなくては、と思い、ドミトリー・マスレエフというピアニストの「四季」から「10月 秋の歌」を聴いて見た。
このかたは2015年のチャイコフスキーコンクールの優勝者とのことである。
兵庫県南部の10月は明るくさわやか
ところで地球温暖化のせいかもしれないが、きょうの兵庫県南部海抜490-500mの昼間の気温は24度。
ひとによっては半そでで充分だろう。
空は真っ青でまことに気持ちがよい。
こう天気がよく、爽やかな気候だと特別よいことがなくても、落ち込むことは少ないのではないか?
それもひとの性格によって違うのかもしれないが。
とにかく私にとっては、「爽やかで」「明るくて」「すがすがしい」10月の散歩であり、チャイコフスキーの秋の歌を極めるには今一つ、外的要因が伴わないのであった。