ショパンコンクールの2位が悔しい反田さん
クラシックピアノを習っているものの、ショパンの曲ばかりをたてつづけに何日も聴くのは私にはちょっとした重荷である。
なので先般のショパンコンクールでの予選・本選インターネット配信では、つまみぐいをするように、気になるピアニストをちょこちょこ見ただけだった。
だから2位だった反田恭平さんと、1位だったブルース・リウさんとのあいだに、得点にしてどれほど開きがあったのかは私にはわからない(全部見ていてもたぶんわからなかっただろうけれど)。
だけど「2位? ええやん、銀メダルやし」
と思っていただけに、11月17日放映のNHK「かんさい熱視線/奈良を”音楽の都へ ピアニスト・反田恭平」のなかでの反田さんの、下記の発言にはびっくりした。
「10年20年ピアノを弾いてきて、分析もし、コンクールで通りやすい曲も考えて、できるだけのことをしたのに、1位がとれなかった。悔しい」
自分がとれなかった1位を、これからの世代の音楽家に成し遂げてほしい、という願望が彼のさまざまな活動の源になっているようだ。
日本のクラシック界を変えるとは?
またこうも言っていた。
「日本のクラシック音楽を変えたい。誰かが変えないといけない。
誰もやるひとがいないから自分がやらないといけない」
え、日本のクラシック界ってだめなんですか?
昨今では大人のピアノがちょっとしたブームで、クラシック愛好家が以前より増えているのではないか、と私は思っていたがそうではなかったのか?
そういうことではなくて、もっとすぐれた音楽家を養成する教育機関をつくらないといけない、ということか?
でも大衆に、クラシック音楽を聴きたい、という方向に向かわせるのが大事だよね?
だって観客がいなければ演奏会ってなりたたないし・・・
奈良を音楽の都に選んだ理由
つまりは演奏者も観客も、そのなかで育つ「音楽の都」を作らないといけない。
そのために白羽の矢をたてたのが「奈良」だということらしい。
私は最初、なんで奈良なのか?と思っていたが、反田さんのいう3つの条件、つまり
- 空気がよいこと
- 歴史と文化が感じられること
- 外国人もよく訪れるところ
となると、うん、やっぱり奈良しかないかな、という気がしてきた。
ただ、よく言われる古都特有の保守性が障害にならないかな、とちょっと気になっていたのだが・・・
反田さんを支える奈良の自治体
しかし奈良の自治体も、反田さんや反田さんが率いるJapan National Orchestra の活動を支えている、ということが番組をみてよくわかった。
1例として、クラシックにはこれまで無縁だった若い自治体職員の提案で、
- コンサートには幼児、未就学児の入場もOK
- 演奏者の服装は普段着でジーンズでもOK
という演奏会が好評だったことを知り、これはいい!と思った。
だって子どものときからナマの音楽に触れるというのはとても大事なことである。
それにクラシックの演奏家がどんなときでも、あまりにも時代がかったコスチュームであることが私はあまり好きではない。
別世界の音楽のようにお高くとまっているような気がするからである。
東大寺の大仏殿で奉納したブラームス
さて東大寺大仏殿で奉納する10月14日を前に、タクトを振る予定の反田さんは天候を気にしていた。
「雨男だからなぁ」
というのである。
そうです、そうです。
私が西宮芸術劇場で彼のコンサートを見たときも、台風接近のせいで大雨だった。
反田さんは
「台風にもかかわらず、よくいらっしゃってくださいました」
と礼を述べ、満場の観客は拍手喝采だったものだ。
さて反田さんの危惧はみごとにあたり、大仏さんの前で行われたコンサートは雨だった。
番組では一部しか流れなかったが、選曲の「ブラームス:交響曲第1番ハ短調作品68」
はよく雰囲気にあってよかったと思う。
ベートーヴェンだとちょっと「人間讃歌」の匂いがして、この混沌とした世界情勢下ではいまいちあわない気がするし・・・
そして何よりも私が反田さんと奈良は相性がぴったりではないかと思ったのが、反田さんのお顔。
大仏さんにそっくりではないか?
いってみれば天平のイケメンというか?
今後の活躍を見守り、ぜひ奈良のコンサートにもいってみたい。