「ピアニスト アリス=紗良・オット 人生の小さな瞬間を集めて」
きのう、クラシックピアノではスニーカーはNGかもしれない、という趣旨の記事を書いてから、ふと裸足でピアノを弾くピアニスト、アリス=沙良・オットのことを思い出した。
しかしこれまで私は彼女のことをよく知っているわけではなかった。
知っていたことと言えば、
- ステージでは裸足でピアノを弾くこと
- モデル顔負けの容姿であること
- 日本人とドイツ人のハーフであること
ぐらいであった。
でも裸足でピアノのスタイルは、日本のクラシック界の慣習とはちょっと結びつかないかも?と思ったら急に彼女に興味が沸いてきたのだ。
そしてググッてみたらNHKオンデマンドで彼女にフォーカスした番組「ピアニスト アリス=紗良・オット 人生の小さな瞬間を集めて」が視聴できることがわかり、観た。
結果、私は彼女の大阪での公演が11月22日に終わったばかりであることを知り、深く後悔することになったのである。
うーーん、来年は絶対に行くぞぉ。
強くて自然体なアリスさん
その卓越したピアノの技巧や表現力は別として、アリス=沙良・オットは強い精神力を持ち、困難があっても、前を向き、かつ自然体で生きる人だと思う。
その強い精神力はドイツ人でもなく日本人でもない、という宙ぶらりんのアイデンティティに幼い頃から葛藤があったこと、また多発性硬化症と診断され、危機を脱したあとも、脊椎からくる肩の不調とつきあいながら演奏活動を続けていること、に表されていると思う。
そして究極の目的は「クラシック音楽を誰にとっても身近なものにすること」と、実にハッキリとしている。
そうそう、一部のひと(知的特権階級?)だけにしか楽しめない音楽なんて、なんか変だ。
だからアリスさんは演奏と映像を組み合わせたステージを自ら企画している。
たんにピアノがうまければいいでしょう、若くて美人だからいいでしょう、ではないのである。
そして、ステージ衣装も現代人と違和感のない、シンプルですっきりとしたものが多い。
↓は2022年のステージで見せてくれたパンツスタイルとジャケット。
私としては、NHKのアナウンサーや気象予報士も、こんなだったらいいのになぁと思うのだけれど。
そして普段のアリスさんは、なんとピアノの上にあぐらをかいて練習しているそうである!
アリスさんの飾らない人柄がわかる動画
そしてさらにアリスさんの飾らない人柄がわかる動画を見つけた。
- 指を温めるため、ルービックキューブを揃えるのから始まって
- 紙を机の上に置かずにツルを折る。
- 同じフレーズを機械的に右手で練習しながら左手では、飲み物を飲んだり、本を読んだり、アイパッドをみたり、お菓子をつまんだり、はてはダンベルのようなもので左手を鍛える。
- 拡げた脚をピアノの両脇につけたまま、ピアノを弾く。
- 立ったまま、片足をあげたまま、スクワットをしながらピアノを弾く。
- 2・2・3・2・2のフレーズを弾くとき、「なま なま たまご なま なま」と言いながら弾く。
- 膝にタンバリンを挟み、右手でピアノ、左手でタンバリンを叩く。
- スケールの練習が嫌いなので、裏返しにした手で弾く。
- ラヴェルの協奏曲ででてくるリズムにあわせるため、「ナマムギ、ナマタマゴ」をいいながら弾く。
- 好きな曲を手を交差しながら弾く、などなど。
こんなに創意工夫が愉しいクラシックピアニストがいるなんて、全然知らなかった!
アリス=沙良・オットが弾くショパン プレリュード6番
最後にアリスさんが弾く、しっとりとしたショパン プレリュード6番を聴いてみよう。
私にも弾けるだろうか? 練習してみようかな。