ピアノコンクールにドレスコードがあることを知らなかった
クラシックピアノのレッスンを再開した2020年頃、私はどなたかのブログで(ブックマークしておかなかったので詳しくは覚えていないが男性)、音大を経験していない大人でもピアノコンクールに参加できることを知った。
「へえ、面白そう」と思った私のアタマのなかでは、なぜかピアノコンクールがそれまで受け続けていた実用仏語検定や英語のTOEICと似たようなもの、という位置に落ち着いてしまった。
このへんがクラシック音楽の専門家が知り合いにいない、という弱みかねぇ。
つまり私はクラシックのピアノコンクールにドレスコードがあることを知らなかったため、恥をかくことになったのだ。
だって仏検やTOEICにおしゃれして試験会場に来る人がいる?
二次の面接でもそんな人はいなかったと思う。私の経験では。
先に書いたコンクール経験者のブロガーさんは、男性であったためか、ドレスコードについては何も書かれていなかった。
そりゃ男性はスーツさえ着ていればだいたいOKだものね。
まったく簡単でうらやましいよ。
とにかくスニーカーでさえなければOK?
今のクラシックピアノの先生とはまだお付き合いも浅いので、初めて
「コンクールにはドレスを着ていないと減点対象になるのですか?」
と聞いてみた。
すると先生は、ちょっと考える風に
「ほかのかたはどうでしたか?」
と聞かれた。
「去年はまだコロナの渦中だったせいか、とにかく弾き終わったらぐずぐずせずに早く帰りなさい、という雰囲気だったので、全体としてよくわかりませんでした。
でも未就学児から高校生ぐらいまでは、コスプレみたいに華やかでしたね。
社会人ではドレスもワンピースもいたけれど、男性が結構いたので・・・」
「最近はドレスがお安くなりましたからね。その影響でしょうね。
まぁ、ドレスはともかくスニーカーさえ履いていなければいいですよ」
がぁ~~~ん!!
私はここで、去年のバッハコンクールにスニーカーで出たことは、さすがに先生に言えなくなってしまった・・・
スニーカーは市民権を得たのではなかったか?
私はここ数年来、どこへ行くのもスニーカーだが、その理由は
- 幅広甲高の足なので、スニーカー以外なにを履いてもだんだん足が痛くなる
- 長年パンプスで通勤してきたため外反母趾になってしまった
- 歩くのが好きで、気候さえよければ、スニーカーで30-40分歩くのも平気
最近はスニーカーが市民権を得たようで、パンプスよりスニーカー姿の女性をみるほうが多く、私にはまことに喜ばしい風潮である。
その市民権を得たスニーカーでも、クラシックピアノの発表会、演奏会、コンクールではなんであかんのか!?
先生は、
「私でもスニーカーで発表会にきた人を見ると、ちょっとね(顔をしかめて)という気になりますよ。だって外を走り回った足で弾くなんて・・・」
え、ピアノって足で弾くんじゃないよね? それでもあかんの?
「つまりピアノに対する敬意に欠けるとか?」
「そういうこと」
私のアタマの中でかけめぐったのは、そのもととなるのはピアノ=神聖なもの?という概念だった。
もしそうだとしたら、女人禁制の大相撲の土俵と似てはいないか?
やっぱりクラシック界はとてもクラシック
この話を夫ちゃんにすると、
「でも『ピアノの森』で、カイくんはコンクールのとき、普段着でぼろぼろの靴をはいていて、最後にはそれを脱いで弾いていたよね」
「あれはアニメだからじゃないの?」
「あれ、そうなの? 僕は実体験だと思っていたよ。
でも僕はアメリカではスニーカーでもOKじゃないかな、と思うけど」
「そうかなぁ。私は国や地域の習慣というより、クラシック音楽界がとってもクラシックなせいだと思うんよ。」
ところで冒頭に貼った写真では、ランランがすごく高そうなゴールドのスニーカーで写真に収まっているが、彼はこのスニーカーを履いて本当にコンサートでピアノを弾いたことはあったのかどうか?