アル・パチーノとショーン・ペンの名演技
アカデミー賞、トニー賞など数々の賞の受賞歴があるアル・パチーノは20世紀で最も影響力のある俳優のひとりだそうだ。
ところが私は彼の映画は「ゴッド・ファーザー」と「セント・オブ・ウーマン」ぐらいしかみていないのではないか?
だいたい汚れ役が多いものねぇ。
でもBSで見た「カリートの道」は本当によかった。
だって人生のすべてがつまっているんだもんね。
アクション・金・愛・夢・友情・嘘・許し・信頼・裏切り・恐怖・死(あ、倦怠はなかったかも?)
確かに古い映画には違いないが、こんな面白い映画が、今はYouTubeで400円で見られるようだ。
アクション映画でハラハラしたい人、アル・パチーノとショーン・ペンの名演技に酔いたい人は必見だと思う。
「カリートの道」予告編とあらすじ
ここで簡単に「カリートの道」のあらすじをご紹介。
ニューヨークの麻薬王でプエルトリコ出身のカリート(アル・パチーノ)は30年の刑期に服していたが、親友の弁護士クラインフェルド(ショーン・ペン)の尽力により、5年で出所する。しかし5年ぶりの裏社会に幻滅したカリートはかつての恋人ゲイルと再会したこともあって、足を洗って南国バハマでレンタカー屋を開業することを夢見る。しかし「命の恩人」クラインフェルドが巻き込まれた事件に背を向けることができず、あぶない橋を渡ろうとすることが命取りに・・・
こんな弁護士っているのか?
もちろん主役はアル・パチーノが演ずるカリートなのだが、くせ者の弁護士を演じるショーン・ペンの凄さも見逃せない。
弁護士のくせに裏社会の人脈にやたら詳しいと思えば、やっぱりコカイン漬けなのだ。
カリートの刑期を25年も短縮させるところを見たら、弁護士としては凄腕なのだろう。しかしカリートからは「命の恩人」と持ち上げられてはいるが、なんか臭いなと思っていたら案の定・・・裏では金のためカリートを裏切る工作に手を染めていたのだ。
こんなクソみたいな弁護士って本当にいるのか?
この世界のことは何も知らないので、これまで私は弁護士と言えば正義の味方と同義語だと思っていたよ。
せめてこれはフィクションか、存在してもアメリカだけのハナシだと思いたいわ。
嘘からでた真の愛
ゲイルとの恋はカリートが刑務所に入所する前から始まっていたらしい。
ところがカリートは刑務所行きを予想して彼女を失望させたくないため、自分から別れを切り出したようだ。
カリートの出所後に再会したとき、ゲイルはブロードウェイでミュージカルをやっていると言うがこれは嘘。
本当はいかがわしいクラブでヌードダンサーをやっているところをカリートに見つけられるが、カリートは特にゲイルを追い詰めることはしない。
ゲイルはゲイルで、カリートに「人を殺したことがあるの?」と数回問うが、カリートはついに「生きていくためには殺すしかなかった」と白状する。
かくしてお互いの嘘を許しあった二人はこの街を捨て、南国での新生活を夢見るのだ。
エンディングの「You are so beautiful」で涙腺崩壊
グランド・セントラル駅での追跡劇を制したあと、恋人ゲイルが待つマイアミ行きのプラットフォームにようやくたどりついたカリートだが、最後の最後で自分の用心棒の裏切りに会ってしまう。
瀕死のカリートはゲイルの腕に抱かれたまま、走馬灯のように脳裏を駆け巡るこれまでの人生を想う。
そして「このプエルトリコ野郎はよく粘ったほうだ」と自分を評価する一方、葬儀屋のこととか、やがて生まれてくるゲイルと自分の子どもに思いを巡らす。
「疲れた・・・」というカリート。
「チャーリー、死なないで、私を一人にしないで!」と泣き叫ぶゲイル。
ここで流れるのがジョー・コッカーの「You are so beautiful」なのだ!
ああ、涙腺のダムが崩壊する!