ピアノをやめたままだったら、音楽の聴き方も変わっていた
村上春樹氏のことばに違いないと思うのだが、
「もし子どものときにやめたピアノを今も続けていたなら、きっと音楽の聴き方も変わっていただろう」
というのがあった、と思う。
しかしいくら探しても出典がわからない。
でも絶対あったんだよなぁ~
なぜこれが気にかかるかと言うと、私は子どものときにやめたピアノを大人になってから再開したのだが、もしやめたままだったと、きっともっと難し気なフレーズをガンガン弾くピアニストを今も好んで弾いているのではないか、と思うからだ。
今の私は、ほとんど自分のテイストに近い、というか、ひょっとしたら自分の手に届くかもしれない(もちろん届かないんだけどね)ピアニストしか好んで聴かない。
そういうピアニストのおひとりがビージー・アデール(Beegie Adair:1937-2022)である。
ビージー・アデールはどういうピアニストか?
ビージー・アデールはジャズピアニストとして60年にわたるキャリアをもち、生涯で100以上のレコーディングを残した。
そしてどういういきさつがあったのかわからないが、2010年に突然日本でブレイクし、Wikipedia を引用するとー
(中略)日本では東京・銀座の老舗レコード店で1万枚に達する売れ行きを記録。
2010年いい日旅立をボーナストラックとして収録し話題をさらった日本デビュー・アルバム『マイ・ピアノ・ロマンス』は年間JAZZアルバム・チャート位を記録する大ヒットに。
続けさまにリリースしたアルバムではジャズというよりイージー・リスニングに近いものだが、これも売るほうの戦略ではなかったと思う。
若いころの私は、イージー・リスニングっぽいのはちょっとバカにしていた傾向があったのだが、この頃はちょっと変わってきた。
そしてなぜビージー・アデールがいいか、というと
- 彼女のスタイルはメロディーを大切にしながら、アドリブで適度なジャズテイストを織り込んでいるのだが、それが耳と心に優しい。
- 日本でブレイクし、来日したのは70歳を過ぎてからで、84歳で亡くなるまでピアノを弾いていた。これぞシニアの鑑!
- 日本の曲もレコーディングしているが、どれも私の好きな曲である:ひょっとして好みが似ている?:例「いい日旅立ち」「スィートメモリーズ」「上を向いて歩こう」「クリスマス・イブ」など。
ビージー・アデールが弾く「クリスマス・イブ」
「クリスマスイブ」はビージー・アデールの「マイ・ピアノ・クリスマス」の最後に、ボーナストラック盤として収録されている。
そして下の動画はたぶん来日当時に撮られたものだろうが、ビージーさんすでに72歳!
とても楽しそうに弾かれている。
アドリブは半コーラスだけだが、たぶんメロディーを聞きたい日本のファンに配慮したものだろう。
JRのCMに使われた「クリスマス・イブ」
ところで山下達朗さんの曲は私は「クリスマス・イブ」しか知らないのだが、この私にとっての唯一の曲、「クリスマス・イブ」は結構気に入っているのだ。
どうしてかな?
たぶんこの曲を使ったJRのCMが、あまりに80年代を思わせて印象的だったからかもしれない。
そうだね、今なら携帯があるから相手が新幹線に乗っているかどうか、すぐ連絡できて確認できるもんね。
でも昔はそうじゃなかったんだよねぇ(一瞬、遠い目になる・・・)