フランス語レッスンのお題はガレット・デ・ロワ
ひさびさにフランス語レッスンからの話題をひとつ。
下記のビデオ、「Le lucratif marché de la galette des rois」(ガレット・デ・ロワという儲かるマーケット」をみて、いろいろ討論しようではないか、というムッシュー先生からの提案だった。
ところで、ガレット・デ・ロワについての記事は去年も「シェルブールの雨傘」がらみで書いている。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
またかぁと思われるかもしれないが、今度はロマンティックなハナシは一切なく、ガレット・デ・ロワというフランス人の大好きなお菓子は大変儲かるビジネスであるゆえ、利益を上げるためにいろいろと大きな声では言えないことが業界では行われている、というドキュメンタリーについてなのだ。
ムッシュー先生はこのドキュメンタリーを見てから、「あんまりガレットは食べたくなくなった」というから案外、神経は繊細なのかもしれない。
私はと言えば、どうせ安いものには何かある、と思っているので特別びっくりしない。
食品詐欺事件にまで発展すればちょっと慌てるけど。
安いガレットはどうしてできる?
フランス人がどれほどこのガレット・デ・ロワが好きか、というと、公現祭の1月のお菓子屋さんの売り上げは、他の月平均の5倍ということからわかるだろう。
クリスマス・ケーキなど遠く及ばないのだ。
どうりでうちの夫ちゃんも毎年、1月にはガレットで大騒ぎし、「子どものころは毎週お父さんが買ってきてくれた」と懐かしむわけだ。
しかしこのガレット、見た目によらず、製造には案外手間暇がかかり、コストもかかる。
小麦粉、バター(ぞっとするほど使う)、アーモンドクリーム、クリームといった材料のうち、アーモンドはカリフォルニアからの輸入に頼っている。
最高の原料を使っているパティシエがつくったガレットは25ユーロ(¥4,000)もするのがあるが、スーパーでは6人が食べられる大きさでたったの4ユーロ(¥640)!
この最安値はどうやって可能?
格安のガレットを製造するには、アーモンドは使わずに香料だけを使うとか、アーモンドではなく、あんずの種を使うとか、いろいろ裏技があるそうだ。
そして、世界的なパン職人で有名なジャン・リュック・プジョラン氏の
「パリで売られているガレットの80%以上は工場生産品で、パン・菓子職人はそれを温めて売っているだけ」
というショッキングな発言が大いに波紋を呼んだらしい。
「こんな不正をどう思う?」
といささか興奮気味のムッシュー先生に対し、私は
「原材料や製法のすべての情報が開示されていて、それでも安いガレットのほうでいい、と思う消費者がいればそれはそれでいいと思います。
だってガレットよりも、他に食べなくてはいけないものもありますから」
と言ってしまったよ。
手作りのガレットでもプロのワザには及ばない
去年の記事でも書いたが、ウチでは毎年、夫ちゃんが手間暇かけて、精魂込めてガレット・デ・ロワをつくる。
つくりだして3年目の今年はいくぶんか上達し、さすがに生焼けのガレットを食べさせられることはなくなった。
ところで原材料の小麦粉、バターなどは彼が吟味して買った高級なものだが、3年目でも、その高級品の持ち味を生かしているとはいいがたい。
やはりプロのパティシエなるものは、ときに裏技に頼ることはあっても、素人には真似のできない技術を持っているのだろう。
ムッシュー先生には「手作りのガレットが食べられるなんてうらやましい」と言われるが、私は私で、高いおカネをはらってもいいから、たまにはプロのワザの成果ともいえるガレットを食べたいなぁ、と思うのだ。