「ハイレベルピアノ」というコースの無料体験
きょうは阪神間に数店舗を構える楽器店で、併設ピアノ教室の無料体験レッスン。
それも「ハイレベルピアノ」というコースである。
楽器店の説明文をみると
ツェルニー40番以上経験者の方を対象にした、より高度なレベルを目指したピアノレッスン。
より高度な技術を身につけたい方、難易度の高い曲にチャレンジしたいという方のためのレッスンです。
とある。
ここで「ちょっとあんた、自分のこと、ハイレベルって思ってるの?」とツッコミが入りそうである。
いや、そんなん思ってません。
そこまで図太くありません。
ただ、大人のピアノというと圧倒的に、「あこがれのあの曲を弾いてみたいと思うあなた、今からでも遅くありません。ぜひピアノをはじめてみませんか?」という初心者向けの誘い文句が多いのだ。
そのなかで、「より高度なレベルを目指した」という謳い文句は珍しいのではないかと思う。
たぶん東京ならいっぱいあるのかもしれないけど。
先生はコンクールに詳しそう
楽器店だから早めに到着しても、待合スペースでボーっとできる。
また当然だがトイレも自由に使える。
個人のお宅だと気を使うからトイレなんか使えないけど。
そうこうしているうちに、時間きっかりにレッスン室の扉があいて、
「ねむいさんですね、どうぞ」
と声を掛けられた。
多分、私とあまりかわらない年代の女性の先生である。
対象の曲目「バッハ フランス組曲2番アルマンド」の楽譜コピーを譜面台に拡げると、先生から
「この曲を選ばれた理由は?」
と聞かれた。
うわぁ、内角に食い込むようなストレート速球の質問だ!
「あのぅ、バッハコンクールを過去2回受けてるんですが、どれも予選落ちで・・・
来年も挑戦するかどうかはまだ決めていませんが、挑戦するなら他の人がどんなのを弾いてるか調べて、そのなかでも技術的に弾けそうで、何か月練習しても飽きない好きな曲を、ということで選びました。」
「バッハコンクールはね、みんなが選ぶ曲はやめといたほうがいいわよ。
採点が辛くなるから」
と、コンクール関係にいやにお詳しそうなのだ。
そう言えばピアノを再開してから巡り合った3人の先生は、大人のピアノコンクールにはあまり興味を示されなかった。
特に2人目の先生は、
「バッハコンクールに大人が出られるの?」
とびっくりされていた。
有名なT朋音大出身だったけど(関係ないか?)
まず大事なのは指の練習だって
きょうの先生はストレート速球の質問をするぐらいだから、物言いや考え方もはっきりされているようだった。
まず、「指の練習」が大事とおっしゃる。
というのは年齢を重ねれば重ねるほど、運動機能が衰えるから。
若い先生に同じことをいわれると、「でも音楽でしょ、リハビリやないでしょ」と突っ込みたくなるが、それ相応の年代の先生に言われると、身に沁みる。
やはりそうかな、と思ってしまうのだ。
そこで先生がオススメの教材はこれ!
「北村智恵のハノン120%活用術」というもの。
でも家へ帰って調べてみたら、今や絶版でコレクター商品の高いのしかないのだよ?
どうするん?
そして身につまされたのが、
「バッハは、インヴェンション➡シンフォニア➡平均律、と順を追ってやらないと身につかない。それができてからフランス・イギリス組曲やパルティータをやったほうがいい」
これって正攻法っぽい考え方だよね、きっと。
ひとによっては古臭い、と思われる方もいるかもしれない。
ピッチャーはみな、先発完投型を目指せ、といっているような(あかん、どうもたとえ話が野球になってしまう)
連弾風ならピアノは1台でいいかも
私は最初、この音楽教室にさほど乗り気ではなかった。
グランドピアノが部屋に1台しかないし、という理由からである。
しかしきょうの先生は、まるで連弾のように私の右横にへばりついていた。
そしてことあるごとに、右手でお手本を示してくれた。
これだったらピアノは1台で充分なのかもしれない。
とすると、この音楽教室も悪くないかも。
帰りがけには受付の女性に
「ごゆっくりとご検討ください」
と2回も言われた。
そうか、最近は結論を急がせると逃げられる、と教育されているのかも?
ああ、悩むなぁ。