冷凍食品は敵か味方か
私は下記の動画を見るまで、冷凍野菜をあまり買ったことがなかった。
冷凍食品にまで範囲を拡げると、冷凍うどんはよく買っていた。
あれ、コシがあっておいしい。
けれどそのほかの冷凍食品はほとんど買ったことがない。
理由はそれ自体、ほとんど考えたこともなかったのだが、多分おいしくなさそう、あまりにも手抜き、といったイメージからではないか、と思う。
ところがフランス語の授業で、「Les surgélés, amis ou énnémis (直訳すれば、冷凍食品は友人か敵か➡意訳すれば、冷凍食品は敵か味方か)」を見てから考えが変わったのだ。
このドキュメンタリーでは、夫と3人の子供と暮らす、忙しいワーキングマザーの食事のほとんどが冷凍食品である、ということから始まる。
この家の冷凍庫のなかには、冷凍食品しかはいっていないようだ。
ムッシュー先生は「料理の仕方を知らないんじゃないか」と批判的な目で見ていた。
私もまぁ、ちょっとかな。
子どもは味音痴に育たないのかな、などど余計な心配をしたりして。
ところが今や冷凍食品は、フランスの家庭に深く根付いており、92%の家庭が冷凍食品を利用しているという統計が紹介された。
理由はまず冷凍食品の圧倒的な安さである。
動画によると冷凍にんじんはキロあたり0.68ユーロ(約112円)、冷凍いんげん(haricots verts)は1.03ユーロ(約168円)だそう。
破格の安さではないか?
この安さを可能にしているのは大手冷凍食品会社で、収穫期に野菜を大量に買い付け、輸送に便利な場所に加工工場を建設し、鮮度を落とさずに大手スーパーに納品しているそうだ。
冷凍野菜のビタミンは生鮮野菜より多い
もっともフランス人のなかでも、冷凍野菜に懐疑的な人はいて、その多くは「冷凍野菜に含まれているビタミンは少ない」と話す人がいた(私も同意見だった)。
しかし、いんげんを例にとれば、冷凍物のビタミン含有量は生鮮物の約6倍だそうである。
フランス人はいんげんがお好き
「フランス人はいんげんをよく食べますね。
日本では結構高いから、私はあまり買いませんけど。
それに正式名称は何なんでしょうね? 日本語でも知りません。
私の母はサンドマメと言ってましたけど」
というと、ムッシュー先生は
「haricots verts(アリコヴェール=いんげん)は肉の付け合わせに便利だからね」
ということだった。
そう言えば、私がフランスに留学していた大昔、学食でよく出されたのが、ぺちゃんこのハンバーグ、付け合わせに缶詰のアリコヴェールだった。
ふにゃふにゃ、ぐにゃぐにゃで全然おいしくなかった。
ズボラにはもってこいの冷凍野菜
この動画をみてから、私はいんげん、ブロッコリー、かぼちゃ、アボカドなどの冷凍野菜を買うようになった。
心配したほど味は悪くないが、価格はフランスのように安くない。
例えば私がよく行くスーパーでは、冷凍いんげん200g=278円、冷凍かぼちゃ350g=358円、アボカド130g=318円である。
決してお得な買い物ではないが、ウチのように少人数であまり食べない世帯の場合、食べる分だけ調理できるし、野菜が傷む心配がほとんどないからラクだ。
それに下ごしらえの必要もないし。
どこまでズボラなの、と言われるかもしれないが、私はブロッコリーを小房に切り分けて冷凍するのも面倒くさい。
そして野菜を洗った後、水気をよく拭き取らないと氷の玉がつくのもイヤだ。
面倒くさいなぁ~と思っているうちに、ブロッコリーのつぼみがいつのまにか、冷蔵庫のなかで、ミモザの花のように黄色くなっている。
世界はズボラにはますます住みやすくなってきているようだ。
いつか報復を受けるではないか、とちょっと心配ではあるけれど。