ムッシュー先生曰くスタンウェイはフェラーリのよう
月1-2回、スタジオでピアノの練習する時間は、フランス語の授業を受ける直前と決めている。
両者の距離でいうと、電車の1駅分なので、よそ見をせずに歩けば15-20分くらい?
しかしアーケードの商店街をきょろきょろしながら歩くので、教室にはいるのはギリギリの時間となる。
なので、先日はムッシュー先生に、
「すみません! ピアノの練習をしていたので、ちょっと遅くなりました!」
と断ると、彼は私がストピを弾いていたものと思ったらしい。
「ちゃうちゃう。スタジオやねん、ほら、駅の南側の」
こんな言葉遣いはしなかったが、ピアノ初心者である先生は、非常に興味をそそられたようであった。
そこで私は自分が知っている限りの情報を提供した。
- とても清潔なところで、スタッフも感じがよいこと。
- ネットで予約ができること。
- 楽譜も貸してくれる:ショパン、ドビュッシー、バッハなど。
- ヤマハのグランドピアノだったら1時間1500円だが、アップライトはもうちょっと安い。
- スタンウェイもあって、確か1時間2300円だった。
すると彼は、
「おおっ! スタンウェイ!
それはやっぱりフェラーリみたいに違うのかな?!」
男の人はだいたいクルマ好きだ
あまり一般論は言わないようにしているのだが、しかし男の人はだいたいクルマ好きではないか?
実際にクルマをもっている、もっていないは別として、彼らは街を走っている車のブランドや、そのだいたいの価格も実によく知っている、というのが私が掲げる一般論だ。
(でも最近の若い人はクルマ離れしているそうだから、違うかもしれないね。)
ウチの夫ちゃんも世の男たちと同じようにクルマ好きで、エンジンの音を聞くと「なんていい音だろう!」と言う。
そしてお金持ちの形容を、「ポルシェが3台、キャッシュで買えるくらい」といったりする。
私はと言えば、ポルシェとフェラーリの違いもよくわからないし、夫ちゃんが最近よく中古車の値段を追っているマセラティに至っては、かたちさえわからない。
しかし値段で言えば、フェラーリ>ポルシェ>ベンツまたはマセラティだよね?
違ったか?
じゃあ、ピアノで言えば、スタンウェイはフェラーリなのか?
じゃあヤマハは? シゲル・カワイは?
と疑問が次々に湧いてくるが、どうせ私の知ったことではない。
さすがスタンウェイという経験をした
ところがこのあいだ、私は
「さすが、スタンウェイ!」
と思う経験をした。
現在習っているピアノの先生のところでは、私たち生徒がスタンウェイを弾かせていただいている。
そのスタンウェイで下のバーナムの練習曲を弾いたのだ。
私はいつも強弱の違いがはっきりしない、と言われてきたので、この日は思い切りクレッシェントを強調して弾いたのだ。
すると先生は、
「高音になるとだいたい音は大きく聞こえるものなので、そんなにがんばって鍵盤を押さなくていいです。
もっと軽く弾いてみてください。そのほうがいい音がでます。」
と言った。
私は
「へぇ~ そんなものか」
と思いながら、右手の5の指の圧を20%くらい減らしてみると(測ったわけではないのだが)、カーン! という実に澄んだ明瞭な音が出た。
ああ、これか! これやこれや!!
この音のすばらしさにはビックリした。
そんなに精魂込めて鍵盤を押す必要はなかったのだと思うと、悔しいやら嬉しいやら、今までは何だったのだろう、という不思議な気持ち。
これはスタンウェイだから出た音なのか?
それともたまたま、私の指圧、押した鍵盤の位置、指の角度がよかったのだろうか?
謎は深まるばかりだが、これでもって私のスタンウェイ株は私史上初、高値を更新したのである。