カッコよすぎるフランス組曲2番クーラント
バッハ フランス組曲2番アルマンドの次の曲、クーラントは前回レッスンで初めてみてもらった。
これはどのピアニストの演奏も、きわめてアップテンポで、だいたい♩=160は軽く超えるのが多いように思った。
速さの点ではとてもマネができないが、せめてクーラントらしく聞こえるように、と日々努力しているのだが、道は果てしなく遠い。
しかし、こちらもアルマンドに負けず劣らず、大変魅力的な曲である。
特に46小節目から50小節目の、リズムががらっと変わるところがものすごくカッコいい。
あまりにカッコ良すぎてとても17-18世紀の音楽とは思えない。
ひょっとして今の音楽のほうがダサいんじゃないのか?
区切り方で拍子が変わるのだろうか
その譜割りを以下に掲げてみる。
左端の拍子記号が抜けてしまったのだが、4分の3拍子になっている。
で、この譜面をみて私は以下のように弾けばいいんだ、と解釈した、というか最初、疑問をもたずに思った。
つまり右手親指でドレミファソラシドレミが強調できればいいな、と思ったのだ。
ところが、西尾洋先生(ピティナでおなじみらしい)の動画によると、ここは
以下のようになる、とのこと。
え~~なんで!!
とにかくここは冒頭からの4分の3拍子ではなく、8分の3拍子だそうだ。
もっと単純化していうと、
ドラファ レシソ ミドラ ファレシ で弾くのではなく、
ラファレ シソミ ドラファ レシソ で弾くべき、と言っているのだな。
これって文章でいうと、区切り方によって意味が変わってくる、というのと同じではないか?
- ここではきものをぬぎなさい(ここで履物を脱ぎなさい)
- ここではきものをぬぎなさい(ここでは着物を脱ぎなさい)
- おしょくじけん(お食事券)
- おしょくじけん(汚職事件)
みたいな?
作曲家、西尾洋先生の説明動画
西尾先生の動画は以下。
なぜバッハはこういうリズムを採用したのか、については、「クーラントという枠組み、または前半の枠組みを壊したものをつくりたかった」という説明には納得したけどね。
拍子のところでは、もしこれが個人レッスンだと
「どうしてそう言えるんですか?」
と聞きたくなり、大教室なんかだと、自分がわかっていないのが恥ずかしいので、わかったフリをしてスルーする、というのが私の授業態度。
なんか中学2年の因数分解でわからなくなり、高校数学Bの微分積分で完全に落ちこぼれた時の気分に似ているなぁ。
シフの演奏だとどっちも正解みたいな?
ところでその後、シフの演奏を聞いてますます訳がわからなくなった。
つまりシフは該当箇所の1回目(0:57)は
ドラファ レシソ ミドラ ファレシ、
2回目(1:24)は
ラファレ シソミ ドラファ レシソ
で弾いているように聞こえるんだけど?
要するにどっちも正解ってこと?
長年、三者択一とか四者択一とかの試験問題で学生時代を過ごしてきたものとしては、なんか気持ちが悪く、「はっきりして!」といいたくなるのだが。
そんなことでモヤモヤするより、クーラントらしく聞こえるようにせっせと指を動かしていればいいのか?