トム・ハンクスとデンゼル・ワシントンの夢の共演
いやぁ~、こんないい映画を私はまだ見ていなかったんだね。
この調子では見逃している映画がまだまだありそうだから、映画三昧の老後(すでに?)も悪くはないかも?と思わせてくれた映画が、1993年のアメリカ映画「フィラデルフィア」である。
この映画でトム・ハンクスはアカデミー主演男優賞を受賞したそうだ。
でもどちらかというと、私は相手役のデンゼル・ワシントンのほうが好ましいけれど。
そしてゲイ役のトム・ハンクスのパートナーを演じる俳優が、アントニオ・バンデラスという豪華キャストだ。
そして30年前の映画だから、3人とも若い!
映画「フィラデルフィア」のあらすじと予告編
ストーリーを以下にざっくりとご紹介すると・・・
アンディ(トム・ハンクス)はフィラデルフィアの大手法律事務所に勤める辣腕弁護士。
上司からの評価も高かったのだが、エイズに感染していることを隠していたため、それを見抜いた上級幹部から罠をしかけられ、解雇されてしまう。
アンディは彼らを訴えることを決め、弁護を乞うたのが、かつて同じ案件で張り合った黒人弁護士のミラー(デンゼル・ワシントン)。「男の中の男」であるミラーは最初、同性愛者を嫌悪するが、法のもとでの平等を勝ち取ろうとするアンディに共鳴し、彼の弁護を承諾し、エイズと同性愛に対する世間の不平等と偏見に立ち向かう・・・
30年前のエイズと同性愛事情
ここで30年前を思い起こすと、たしかに当時は誰かがエイズにかかっている(かもしれない?)とすると、ひぇ~~とばかりに大騒ぎになったものだった。
「普通の生活を送っていると罹りません」と言われて、「それじゃ『普通の生活』って何なん?」と言い合ったものである。
それから思えば今や、エイズなんて言葉、メディアでは目にもせず、耳にもしない。
調べてみると医学の進歩のおかげで、エイズは不治の病ではなくなったそうだが(偏見は残ってはいる)、まったく世間ってなんなんだろうね。
このぶんでは何年か後には、コロナって聞いても?の人がぞろぞろいるのだろうか?
まったくいいのか悪いのかわからないが、世間の評判に振り回されずに平静な自分を保つには、どうしたらいいのだろうか?と考えてしまう。
それに同性愛もなんなん?
現代ではLGBTがテーマの小説や映画が多すぎて、ちょっとこれにも私には辟易しているのだが。
偏見でも偏愛でもない、フツーってなかなか題材にはなりにくいのだろうか?
マリカ・カラスが歌う「アンドレア・シェニエ」の「母は死んだ」
映画中、最も印象に残った場面。
明日の審議の予行演習のためにミラーがアンディ宅を訪れる。
時間に追われている弁護士のミラーにアンディは、
「オペラは好きか?」
とたずねる。
「このクソ忙しい時に、オペラの話なんか勘弁してぇな」
というミラーの表情だが、アンディはかまわず、ウンベルト・ジョルダーノ作のオペラ「アンドレア・シェニエ」のなかのマリア・カラスが歌うアリア、「La mamma morta (母は死んだ)を紹介する。
フランス革命で家も何もかも失った貴族の女性の悲哀と、それでも愛と希望に生きたいと願う彼女の心情に自分の想いを重ね合わせ、涙を浮かべるアンディ。
それに心を動かされつつ、どうしてよいかわからずオロオロし、ついには席を立ってしまうミラー。
いい場面である。