若手ピアニストナンバー1の亀井聖矢さん
今のクラシックピアニストの先生と、コンクールの話になったとき、言われたこと。
「(あなたが)どんなコンクールにエントリーしようと、私は何もいいません。
でもピティナの特級だったら『ちょっとやめといたほうがいいんじゃない』と言うわ」
なるほどね。
ピティナの特級といえば、それだけレベルが高いんだ。
そしてそのカテゴリーで2019年に第1位、2022年のロン・ティボー国際コンクールでは第1位のみならず、「聴衆賞」と「評論家賞」も受章したというから、亀井聖矢さんは今、最も注目されているピアニストの1人なんだろう。
それなのに私は彼について何も知らなかったので、彼が出ているという3月10日に放映された「情熱大陸」を録画しておいて観た。
感想を一言で言えば・・・
すばらしい好青年。
そして若いっていいねぇ~ 若いってすばらしい!!
亀井聖矢さんのドイツ留学生活
亀井聖矢さんは、現在ドイツに留学中でカールスルーエ音楽大学で児玉桃さんに師事しているそうだ。
「外食すると高くつくから」という理由で食事は自炊、住まいは同じくピアニストの村上智則さんとシェアしている。
このあたり普通の大学生とあまり変わらなさそう。
あぶなっかしい手つきで包丁を握っているが、大丈夫?
手を切らないでね! と声をかけたくなる。
夕食後は、自分の部屋にピアノがないため、また大学に戻って練習。
これだけの卓越した技術があれば、もはや怖いものなしではないか、と思うのだが、意外なことに、これまであまりショパンを得意としていないとか。
「いつまでも超絶技巧曲なんか弾いていないで、もっとピアニストとしての幅を広めていきたい」
と語る好青年。
私なんか、技術さえあればあとはなんとでもなる、と思うのだけれど、音楽的にもっと先を歩んでいるかたは違うのだ。
ここで流れたナレーション:
「楽譜を正確に再現することと、作品を表現することのあいだには途方もない距離がある」
これ誰の言葉なんだろう?
テレビ局の人の創作だったらカッコ良すぎて受け入れられない!
でももし、その道の達人の言葉だったら、額にいれて座右の銘としたいくらい。
音楽の勉強は外国語の勉強と似ている
亀井さんが悩む「ショパンを表現すること」の難しさは、なかなか共感を覚えにくいのだが(あれくらい技術があれば簡単でしょう?と思うので)、亀井さんの発言で激しく同意することがあった。
それは「音楽の勉強は外国語の勉強と似ている」というもの。
つまり文法も大事。
聴くこと(リスニング)も大事。
だから音源もつとめて聞くようにしているとのこと。
あと、亀井さんは言及しなかったが、譜読みはリーディング、人前での演奏はスピーキングにあたるのかな?
ともに根気がいり、時間がかかることには変わらない。
Ipad の電子楽譜にいろいろ書き込んでは考え込んでいる亀井さん。
こんなに弾ける人だって考えるんだ、とちょっと安心するわ。
2025年のショパンコンクールが楽しみ
いつもショパンコンクールでオーケストラを担当しているワルシャワ管弦楽団とのリハサールでは、オケとピアノがぴったりあっていない箇所もあったりして、亀井さんはちょっと落ち込んでいるように見えた。
「むずかしい、むずかしい!」
を連発していたりして。
でもリハーサルでは会心の出来だったようで、笑顔がはじけていた。
そして指揮者さんからも、
「よくオケを聴いていたし、演奏しようというだけでなく、表現しようとしていた」と褒められていた。
そして
「来年のショパンコンクールにはでますよね?」
と聞かれて、
「考えています」
と言う亀井さん。
この答は当然、「はい、でます!」の意味だよね?
こりゃ、今から楽しみだわ。