夢でささやくピアノ

ジャズピアノとクラシックピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

誰にだって苦手な発音はある

私にジャズボーカルがつとまるのか?

さあ、いよいよ明日は人生で初めてジャズボーカルをソロを歌う日だ!

それもジャズセッションで!

ライブハウスで!

ピアノ、ベース、ドラム、そしてトランペットまでバックに従えて!

最初は冗談だったのに、本当になりそうだった頃から私は地味に練習を重ねていた。

それは発声練習というより、音をはずさない練習、そしてフランス語のせりふを覚える練習である。

しかし完璧に覚えるまでこんなに時間がかかるとは思わなかった。

昔なら数回歌っただけで覚えられたのに・・・

明らかに記憶力の衰えを感じて愕然とする。

でも認知症予防のために、計算ドリルなんかは私の性格上できそうもないので、フランス語の歌詞を覚えるぐらいの努力は脳味噌のためにもしたほうがよい、と乗らない気持ちに鞭打ってがんばって練習した。

ジャクリーヌ・フランソワが歌う「ブルーゼット」

これは以前の記事にも書いたが、歌は「ブルーゼット」、お手本にしているフランス語版は、ジャクリーヌ・フランソワで、歌詞はあまり意味がないものである(なのに、というかなかなか覚えられなかった)。

Les mots que j'entends lorsque je joue

Cet air là sont des mots,

Des mots doux, mais un peu fous

Ce sont des mots, des mots d'amour

Des mots de joie

Ces mots que j'entends quand je joue pour toi.

 

私がこのメロディーを歌うとき

耳にする言葉は優しい言葉

だけどちょっとばかみたいなの

それらは愛の言葉

喜びの言葉

あなたのために歌うとき

耳にするこれらの言葉は

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私にはどれもジュしか発音できない

ところが私の歌を聞いていた夫ちゃんがまたケチをつけ始めた。

歌詞中、je (ジュ=私) と jouer (ジュエ=歌う、演奏する)の発音がだめだ、というのだ。

つまり日本語で書けばどちらもジュになるが、フランス語の音は全然違う(らしい)。

私を意味するジュは、ネイティブが発音すればシュに近く、そしてジュエのジュは深いウが感じられる発音である。

わかってるよ、私にも理屈ぐらい。

でも私にはその違いがつけられないのだ。

「僕はもう、これを30年以上教えてるよね!

でもどうしてできないの?」

でもできない発音はこれだけではない。

フランス語でジュがつく単語はほかにもあり、jus「ジュース」joue「ほっぺた」jeu「遊び、ゲーム」などがある。

どれも私が発音すればジュにしかならない。

でもね、こんなのは文脈でわかるだろう?

「ジュースください」といっているのに、ほっぺたを差し出す人はいないであろう。

それに日本ではだれもフランス語なんかわからない、といっても過言でもないだろう。

だから私が気を付けることは、最低音をはずさないこと。

そして万が一歌詞を忘れてしまえば、ラララ・・・でいいと思っている。

Hと母音を混同するわが家のフランス語ネイティブ

そういう夫ちゃんにも苦手な発音はあるのだ。

よくフランス人にはHの発音ができない、と言われるが、夫ちゃんはできないことはない。

北海道はオッカイドウにならず、ちゃんとホッカイドウと発音できる。

北陸もオクリクではなく、ホクリクと発音する。

ただ場合によっては、Hと母音を混同することがあるのだ。

たとえば、最近ウチでは家の中にアリが出没して困っている。

木造の一戸建てのせいか、山の中の家のせいか、はたまた夫ちゃんがクッキーをお皿で受けないでそのままかじるせいか?

絶え間なく出没するアリとのゲリラ戦に疲れたのか、彼は、

「この家、どっかにハナがあるんだよな。

そのハナからアリがはいってくるんだ。

だからそのハナを見つけて、ハナを埋めないかぎり、アリはずっとやってくるんだ!」

私は黙って聞き、

「ハナではなく、アナでしょ!」

とは言わない。

どうせ私の言うことなんか聞かないからである。

赤の他人様に指摘されてはじめて、間違いに気づかないと彼の日本語は改善しない、と思うからなのだ。