「ボサノバの女王」アストラッド・ジルベルトさん死去
「ボサノバの女王」と謳われたアストラッド・ジルベルトさんが、6月5日、83歳で亡くなった。
ネットニュースをざっと見たところ、「『イパネマの娘』を歌ったジルベルトさんが亡くなった」というのが多い。
でも彼女のヒット曲は「イパネマの娘」だけに限らない。「コルコヴァド」「いそしぎ」「How insensitive」などのステキな歌をレコーディングし、アントニオ・カルロス・ジョビンや、夫(のちに元夫)のジョアン・ジルベルトとともに、1960年代のボサノバブームを牽引した歌手である。
なーんて知ったように書いているが、じつは私はリアルタイムではボノサバ・ブームは知らないのだ。
夏が近づくと必ず聴きたくなるボサノバと、本当にお近づきになれたのはジャズを始めた20代の頃である。
ボサノバは歌い上げない
アストラッド・ジルベルトさんと小野リサさんとどっちを最初に知ったかというと、ひょっとして小野リサさんのほうが先かもしれない。
小野リサさんはブラジル生まれの日系人ボサノバ歌手として、1980年代の終わりごろから大人気でテレビにもよく出ていらっしゃったと記憶している。
そして「ボサノバの特徴は?」とインタビュアーに聞かれたとき、「決して歌い上げないことです」と答えたとき、こりゃビックリした!だって今でも覚えてるもん!
それまでうまい歌手というのは、朗々堂々と歌い上げるのに決まっていなかったか?
布施明、越路吹雪、エディット・ピアフ、ミレイユ・マチュー・・・
そうでなくて、ボソボソ、コソコソでいいんだと思ったら、なんか世界観まで変わってきたよ。
それからアストラッド・ジルベルトを聞いてあまりにも声が小野リサさんと似ているのにビックリし(小野リサさんがジルベルトに似ているのかも)、でも結局両方好きやわぁー! だって夏暑いときに、声を張り上げられたら暑苦しいやん?
アストラッド・ジルベルトさんの「イパネマの娘」
せっかくなので、在りし日のアストラッド・ジルベルトさんで「イパネマの娘」を聴いて見よう!
サビが弾きにくい「イパネマの娘」
この「イパネマの娘」、大好きなのだが、あまり弾きやすくない曲のひとつである。
というのもサビからのコードが意表をつきすぎていて、もう何が何やらわからなくなってくるからである。
こういう悩みをもつのは私だけではなさそうで、「イパネマの娘」「コード分析」で検索すると、いろいろな方の解説があって、それをひとつづつ検証しただけできょうの午前中が潰れてしまった。
難所はなんといってもサビの部分なのだが、4小節ごとにDb➡E➡Fに転調しているらしいのだ。
その転調のおかげで、打ち寄せるさざ波までイメージできるのだが、なんとまあアドリブの弾きにくいこと!
きっとジャズを真剣に学習しているひとなら、ここのスケールは何々とかいちいちアタマに叩き込んで弾いているのだろう。
ところが私の場合、習ったふたりの先生とも、
「スケールなんか覚えんでも、そのように弾いてるで」
「スケールを気にするのはだいたいメロディーしか吹けへん管楽器のヤツやな」
ときわめてアバウトだったので、私はドリアンだのイオニアンだのはあまり覚えていない。
そのせいなのか、今でもとっても苦労しているのだ・・・