夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

ハノンをこきおろし、ブラームス練習曲を絶賛するあなたは誰?

ハノン批判の急先鋒?フィリップ・カッサール氏

クラシックピアノに情熱をもって取り組んでいらっしゃるかたは、みなハノンは基礎練習として取り入れていらっしゃるのだろうか?私自身は時間がないことと、面白くないことを理由にずいぶん長いこと、ハノンをやっていない。だが、それでいいという確信もない。

そういうことから、フィリップ・カッサール氏というピアニストがハノンを批判しているYouTubeの動画をみて面白かったので、記事にまとめてみた。

ハノンは何の役に立つのか、と問うフィリップ・カッサール氏

講演者であるフィリップ・カッサール氏をWikiで調べてみると、フランスクラシック音楽界の重鎮といっておかしくない経歴だと思う。

フィリップ・カッサール - Wikipedia

その氏がハノンをこてんぱんにこきおろしているのを聞くと、やはりフランスではもうハノンという練習曲集は古いと捉えられているのかなぁと感じる。

氏はまず、「何世代にもわたって音楽学校が強いてきた悲惨なピアノ教則本あるが、私はもちろんオーギュスト・シャルル・ルイ・ハノンのことを言っているのだ(2:05)」と言い放ち、最初から喧嘩を売っているかのようだ。

そして「ハノンの練習曲集は、指をハンマーのように打鍵するメカニズムしか問題にしていない(2:34)」「ハノンの虚栄心には際限がない。練習曲集の表紙に1878年の万博で受賞した銀メダルまで載せている(2:58)」(この先生、ハノンがよほど嫌いなのか?)

そして氏は「いやになるほど白鍵ばっかり」といいながらハノンを弾き、14,15,16,18番を弾いたあと、「これが何の役に立つのかね?(A quoi ça sert?)」「指の強化ですかい?、恐ろし気な音をはっきりとだすため?」と言うのだ(6:21~)。ハノンが生きていたら、怒るだろうなぁ!

結論として、「どんな音楽でも、モーツァルトシューベルトシューマンショパン、リストの音楽でも、こんなバカげたものは存在しない(6:35)」とハノン批判に幕をおろす。

ブラームスの練習曲集を絶賛

ついで氏はブラームスの練習曲集をきわめて音楽的なものとして、毎日のプチジョギングに例えるのだ。「これをやれば、あなたは毎朝、すばらしいものを出会えるのだ」とばかりに。

氏は手首を左右に柔軟に動かしながら弾き、また手首を上下にもうごかしつつ、しきりにしなやかで、まるで手がピアノにはりついているかのような感覚をよし、としているようだ。

氏によると、音階練習も機械的に上がったり下がったりするのではなく、音を3つずつ、(12:38) あるいは2つずつ区切ったり、p から f へ、f から p へ強弱をつけるとか、きわめて感情を込めて弾いたりすることも推奨している。

また、最近の中国人、韓国人の若いピアニストが速弾きができるのは、ハンマーのようなテクニックを習得したからではなく、指の可動性や柔軟性について十分研究を積み重ねたからだと言っている(9:20)(じゃぁ、日本人はどうなのかね?)

ハノンは全否定されるものなのか?

私はクラシックピアノを専門に勉強したわけではないので、フィリップ・カッサール氏に同調する意見も、反駁する例証ももたない。

ただ、これだけ批判されているのを聞くと、なんだかハノンをやる気が失せるなぁ、というのが確かである。でもだからといって、それじゃすぐに「ブラームス:51の練習曲」をアマゾンでポチしましょう!という気にもなれず、二の足を踏んでしまう。

ハノンは本当に不必要なのだろうか?スポーツ選手が柔軟体操をしたり、ランニングをしたりするように、ハノンを指の準備体操の一環として使っているかたも多いと思うのだが、それも全否定なのだろうか?どなたか、ハノンを全面擁護する専門家の意見も聴きたいものだ。

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