私にとってピアノの鍵盤はいつも重かった
幼稚園のときに初めてピアノに触ってから、私にとってピアノの鍵盤はいつも重いものだった。
この感覚はいつまで続いたのだろうか?
小学校高学年から中学生ぐらいまで?
だからこの重い鍵盤を押すことによってしっかりとした音が出せるようになるため、指はいつも強くなければならないと思っていた。
だってハノンにも確か、「4の指はほかの指より弱い」と書いてあるよね?
だから指の練習をすることによって、弱い指が強化され、強くなった指だと鍵盤の重さもはねのけて、むずかしい曲も弾けるようになる、とずっと思ってきた。
ところが最近、気がついたことなのだが、私の4の指は今でも他の指と比べると弱いのかもしれないが、親指は他の指よりずいぶん強いらしいのだ。
親指で弾いた音が強すぎていた
そのことに初めて気がついたのは、コンクールの審査員のある先生から
「急に音が強くなる箇所があるので気をつけましょう」
というコメントをいただいたのがきっかけだ。
今までそんなことを歴代のピアノの先生には言われたことがなかったので、
「???」
だったが、アタマの隅っこには残った。
そして今の先生のところで、バッハパルティータ1番プレリュードを弾いているとき、
「ジャズじゃないんだから、ダダ ダダみたいに後ろにアクセントをつけないで!」
と言われ、ようやく気がついた。
私はなにもジャズのクセをここでだしたのではなく、この場合、後ろの8分音符は親指で弾くため、ついつい弾きやすさから音が大きくなってしまったようなのだ。
あれれれれ。
今まではいかに指を強くして音を出すかに腐心していたのに、今度は強すぎないようによくコントロールしながら弾かねばならないとは・・・
気がつくのが遅すぎなのかもしれないが、気がつかないよりはずっとましだろう。
親指でガツンといわせないように、よくコントロールして打鍵しなければならないというタスクが増えてしまったのだ。
やれやれ、指を早く動かすのもむずかしいけれど、力を加減しながら打鍵するのもそんなに簡単やないなぁ・・・
親指の付け根部分に違和感
そんなとき、急に親指の付け根部分に違和感を感じるようになった。
あれ、練習のしすぎか?(まさか~)
それに今弾いている曲のなかでは、そんなに手の拡張に苦労するような部分があるとは思えない。
痛む、というほどでもないが、日常生活での動作でも、親指と人差し指の間を拡げるのはできるだけ避けたい、と本能が叫んでいるようだった。
はて、どうしたものか?
とりあえず入浴後、ロキソニンの湿布薬を貼って寝る。
翌朝。
ふーむ、あんまり変わらないような気がするけど、ピアノを弾くときに影響がなさそうであるような?
掃除機の握り方を変えてみたら
ふつう掃除機を握るときの握り方は下のようなものだろう。
でもふと、思い立って握り方を下のように変えてみた。
要するに、親指と人差し指のあいだに隙間をつくらず、親指を人差し指に添わせるかたちである。
たしかに安定感には欠ける。
けれども掃除機が持てないことはない。
それから雑巾やタオル、テーブル拭きを絞るとき、ドアノブをつかんでドアを開くときも同じ要領で、親指を独立させず、常に他の指と一緒の位置にいるようにした。
するとそれから約2日後・・・
違和感はきれいさっぱりなくなっていた!
ピアノを弾くのも異常なし!
ということは掃除のしすぎ、いや掃除機を握りしめすぎていたのか?
タオルも絞りすぎていたのか?
それらは直接の原因ではないにしても、日常動作の積もり積もったクセのせいで、からだに支障をきたすことはあるのかもしれない。
それにピアノを弾くという動作。
必要以上の負荷をかけていた私の親指も、さすがにネをあげて警報を鳴らしていたのかもしれない。
ごめんね、親指さん。
これからは親指に力を込めず、いい音がだせるようにしたいなぁ。