夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

料理好きのグルメならオススメのフランス映画「デリシュ!」

2021年のベルギー・フランス合作映画「デリシュ!」(Délicieux)

配信でみることができるおいしい映画「デリシュ!」

このごろNHK BSでは好みの映画が放映されないので、きょうは夫ちゃんのマル秘コレクションのなかからフランス映画「デリシュ!」を見た。

調べてみるとこれは今、アマプラでもYouTubeでも配信されているのだな。

しかしうちはそういうのに加入していないし、だいたい夫ちゃんは私が字幕付きで映画を見ると、「そういうことをするからいつまでたっても上達しない!」と不機嫌になる。

しかし何十年の学習歴でも、字幕なしでフランス映画を完全に理解するのは、私には無理なのだ(英語はもっとダメ)。

なのでまず字幕なしで、この「デリシュ!」を見て、面白ければ完全理解を目指して、YouTubeで400円を払って字幕付きのを見るつもりでいた。

で、見終わった後、ある程度は面白かったが、2回みるほどでもない、という結論に達した。

ただし、料理好きのグルメのかたならこの映画を大いに評価するかもしれない。

なぜなら、できあがった料理はもちろんのこと、シェフの手さばきが見事だし、フランスの田園風景の映像も素晴らしい。

映画「デリシュ!」のあらすじと予告編

この映画のあらすじをごく簡単にご紹介すると

まだレストランが存在していなかったフランス革命前夜-公爵家に雇われていたマンスロンは腕のたつ料理人だったが、貴族には嫌われていたジャガイモを創作料理に使ったことから公爵の怒りを買い、解雇される。父が暮らす田舎の実家に息子とともに隠遁生活を送っていたところ、ルイーズと名乗る謎めいた中年女性から料理を教えてほしい、と懇願される。料理への情熱を失っていたマンスロンだが彼女の情熱に負け、やがてはこの時代にはまだ存在していなかった「レストラン」を開業するまでになる。しかしそこに至るまでさまざまな事件が・・・

www.youtube.com

歴史ロマンとしてはつっこみどころ満載

映画の冒頭、視聴者の理解を得られやすくするためか、こんな言葉が画面に拡がった。

Au dix-huitième siécle

La cuisine est, pour la noblesse, un moyen de lutter contre l'ennui et d'attester de sa grandeur.

Pour le peuple, il s'agit avant tout de se nourir.

Si les auberges et relais de postes servent des plats simples aux voyageurs, il est rare de manger hors de chez soi.

Le restaurant, ce lieu de création, de plaisir, et de pargate, n'a pas encore été inventé.

18世紀、料理とは貴族にとっては退屈を紛らわし、自らの権威を証明するものだった。対して庶民とっては料理とは、まず食すること。

旅人に簡単な食事をふるまう宿屋や宿駅はあったものの、人が自分の家以外の場所で食事をとることは稀であった。

創作と愉しみ、共有の場であるレストランはいまだ発明されていなかった・・・

これを見ると、ちょっと「うわっ これは壮大な歴史ロマンか?」と期待されるかたもあるかもしれない。

しかし、歴史ロマンにしてはつっこみどころ満載である。

だいたいこのルイーズという女性はなんだね?

「私は元娼婦ではなく、元侯爵夫人です」

と終盤で身元を明かす。

しかし元侯爵夫人が川で洗濯したり、家畜の世話をしたり、畑仕事ができるのかね?

なんか無理があるなぁ。

製作者はどうしても、料理人気質のマンスロンに、恋に落ちる女性をあてがいたかっただけのような気がする。

あとこの映画では、貴族は100%悪者という設定になっているので、その貴族に復讐を企むにはやはり貴族の女性を配置して、毒をもって毒を制す、という意味なのか?

とりあえずフランス革命万歳!

マンスロンとルイーズのレストランが成功するまでは、山あり谷ありだったが、最終的に彼らは、台所で打ち粉を子どものように掛け合って喜ぶ、仲の良いパートナーとなる。

そして彼らのレストランでは客は貴賤を問わず平等に扱われ、マンスロンの息子が言うように、「すべての客は王」となって繁盛するのだ。

めでたし!めだたし!

そしてこの数日後にバスチーユが陥落するらしい。

貴族と言う客がいなくなったらマンスロンのレストランも、何かと影響を受けると思うのだが、私たちはそこまで考える必要はないのだろう。

とりあえず「フランス革命万歳!」という映画なのだ。