ポリフォニーって難しい
バッハに代表されるポリフォニー(多声音楽)って本当にむずかしいね。
指が片手につき、もう1本ずつあったら、もっと簡単なのかなぁといつも思う。
簡単に言うと、人間の手は2つしかないのに、3つ(3声の場合)あるかのように弾かないといけないってことだよね。
これをコンクールやピティナステップの批評だと、いとも簡単にというか、最近のメディア風にいうと、バッサリと、
「声部の弾き分けができていない」
とだけ書かれる。
ま、言葉で音楽のあれやこれやを表すのはむずかしいから、しようがないか。
要するに私が弾くと、手が3つあるかのように弾かないといけないフランス組曲2番アルマンドが、2つにしか聞こえない、ということらしい。
となっているが、私が弾けば
という、ダ ダ ダ ダ 的な1声にしか聞こえないのだ。
これは3声であるシンフォニアを始めたときからアタマの痛い課題で、そのときどきの先生がたからは、
「右手だけで弾いて見ましょう」とか
「ソプラノ(アルト)だけで弾いて見ましょう」とのアドバイスをいただいていた。
また、体験で教わった先生からは、
「小指に力がはいるよう、手を右に傾けているの」
という裏技も教わった。
私もいろいろやってみたが、自分で弾いたのを録音してあとで聴いて見ても、やっぱり1声にしか聞こえない・・・
右手2声を両手に分けて弾くというアドバイス
それを今の先生に、
「私が弾くと、どうがんばっても右手は1声にしか聞こえません!」
と訴えた。
すると先生は、
「右手のところを、右手と左手にわけて弾いてみたらいいですよ。
そうやって耳を鍛えるんです」
と言った。
と、すると下のようになる。
つまり赤線が右手で、青線が左手となる。
すると、へぇ~ こんなことで効果があるんだね。
なんとなく、ではあるが、2声の違いが私のなかで明瞭になってきたのだ。
つまり、こういう風に聞こえるように弾ければOKなのだ、ということが腑に落ちたのだ。
今まではどうしても、音の高いほうに意識が行くので、音の低いアルトがどういうメロディーラインをもっているか、よくわかっていなかったのだ。
でもこれを左手で弾くと、
「ほう、そうかい?あんた、そういうことがいいたかったんかい」
と、わかった気がする。
それでもって、バスはどうするの?
やっぱり手はもう1本ほしいけどね。
まあそれは無理として、めざすべき音がわかっただけでもずいぶん前進した気がする。
失敗した多重録音
しかしこの練習方法をどうして今まで思いつかなかったのか?
今までいろいろ自分なりに試行錯誤して、あらゆる方法を試したつもりだったのに。
例えば、多重録音というのもやってみた。
やり方はというと、
- バスだけ、左手で弾いたのを録音する。
- その録音を再生しながら、右手でソプラノとアルト分を弾く。
あるいは
- 右手のソプラノ部分だけを弾いてそれを録音する。
- その録音を再生しながら、右手でアルト分を弾く。
でも結局、これは長続きしなかった。
最初はよい思いつきだと思ったんだけどね。
やはり録音した音と、実際に弾く音では音質にギャップがありすぎるのが気になり、実用的でない、と判断したような気がする。
これに比べると、右手ソプラノ、左手アルトのほうがずっと現実的である。
調子に乗って、今までやったシンフォニアもこれでさらってみた。
「ふんふん、なるほど」
の気分である。
しかし気づくのが遅いよなぁ。
これだから私には良きレッスンが必要不可欠なのだと思う。