音楽はすべて英米の曲ばかり
なんか不思議な映画だった。
主役のジャン・レノは、頑固おやじがはまり役だし、
聴覚障害がある小さい孫ちゃんはめっちゃ可愛いし、
オリーブの樹、カマルグの湿地帯、牛追い祭り、活気ある市場・・・
どれもこれも
「あぁ、行ってみたいなプロヴァンス~~」
の雰囲気満点だったのに。
なぜか音楽だけが英米なのだ、なんやこれ?
まず出だしからサイモンとガーファンクルでしょ。
締めはコールドプレイのパラダイス。
中盤はボブ・ディランの「Knockin' On Heaven's door」「Forever young」・・・
なにも彼らの音楽が悪いというてるのやないよ。
ただ、南仏の観光推進みたいな映像ばっかりを流しといて、BGMがフランスの音楽ではない、というのはいかがなものか?
例えばですね、「京都の四季」とか川端康成の「古都」みたいな映画があったりする。
そのBGMがボブ・ディランだったらどう思う?
まったく製作者側の意図がわからない。
映画「プロヴァンスの休日」のあらすじ
それ以外はけっこう楽しめた映画「プロヴァンスの休日」のあらすじはざっくりいってこんな感じ。
父親が家を出、母親が研修でカナダへ発ってしまったため、会ったこともない祖父(ジャン・レノ)が住むプロヴァンス地方でバカンスを過ごすことになった兄のアドレアン、妹のレア、そして聴覚障害のある弟テオ。
最初は祖父の頑固さとプロヴァンスの田舎度に辟易していた彼らだが、恋あり、交流ありで次第に地元に溶け込んでいき、祖父との距離も次第に縮まっていく・・・
ユーグ・オーフレイへのオマージュかもしれない
しかしこの記事を書いているあいだにだんだんわかってきたことがある。
それは祖父の昔のヒッピー仲間で出ているユーグ・オーフレイ(Hugues Aufray) はボブ・ディランのフランス語カバーで知られており、また彼が歌う「サンティアーノ」はキャンプファイアー曲の定番で、フランス人なら知らない人はいないそうだ。
これは以前、記事にもしている。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
製作者にとってはユーグ・オーフレイは大事な特別出演者だったのではないか。
日本では無名に等しいシンガーソングライターだけれども。
よってこの映画は世界中の視聴者よりも、国内ウケを狙ったものではないだろうか。
若者とシニア世代の距離の縮め方
頑固な祖父が、昔はワイルドなヒッピーで、祖母とともに世界中をバイクで旅をし、ウッドストック(1969年の歴史的なロックフェスティバル)で出会った友人もいる、ということを知ってから、祖父母と孫たちの距離は急速に縮まっていく。
そして一目ぼれ同志で結婚したと思っていた祖父母の馴れ初めにも、じつは隠されたストーリーがあったことを知る。
そうか。
若い人に受け入れられるためには、シニア世代が若き日にしでかしたアホな出来事を知ってもらったほうがいい、ということなのかもしれないね。
「この夏は人生で一番美しい夏だった」
とテオに語るジャン・レノを見ながらそんなことを考えた。