最近ではまろやかなバッハが主流?
私のクラシックピアノの先生が音大生だった頃、たぶん数十年前のことかと思うが、バッハは「かっちり」弾くものと教えられ、教授法もずいぶん厳格だったそうだ。
それがある中国人ピアニストのバッハを聴いて、
「へぇ~ バッハってこんなにまろやかでいいんだ!」
と開眼したそう。
それ以来、バッハを弾くときは「まろやかさ」を重視していらっしゃるらしいが、先生の恩師からも、
「今や時代も変わりましたからね。あなたの言うとおりですよ。」
と言われ、自分の感性に自信を持ったという。
ところでその肝心の中国人ピアニストは誰かということなのだが、その名前が先生の口からとっさにでてこなかった。
いわゆるど忘れというヤツである。
私は助け船をだそうと思って、
「ユジャ・ワン?」
「違う!女性じゃないの!」
「ユンディ・リ?」
「違う!丸顔の人!」
「ランラン?」
「そう!」
私はランランが好きではなのか?
ところで私が最初にランランの名をださなかったのは、あまりにメジャーなかたなので、先生ならもうちょっと変化球っぽいピアニストがお好みではないのかと思ったせいである。
私が拍子抜けした顔をしたせいか、先生は
「あんまりお好きじゃないですか?」と聞いた。
「いえ、そういうわけではないのですけれど。
中国のピアニストってなんか上海雑技団みたいで(このとき私はユジャ・ワンの超ミニドレスが思い浮かんだのだ)、テクニックもアクロバット的にすごすぎて、あんまり参考にならないみたいで・・・」
ランランのゴルトベルグのまろやかさ
ところが先生が言うには、ランランのゴルトベルグは全然そんなのではなくて、「そのまろやかさに泣けてくる」「持っていたお箸を落としそうになって、ご飯を食べるのもイヤになる」「ありがとう!といいたい」ぐらい素晴らしいらしいのだ。
「是非聞いてみてください」
と言われたので、私も聴いて見ましたよ、下の動画。
で、感想はというと?
私にとってプロのピアニストの弾くゴルトベルクはどれもすばらしく(ようするに違いがわからんのだ)、格別ランランのに心惹かれたというのは、はっきり言ってない。
好みから言うともうちょっとテンポは速いほうがいいかなぁ。
ランランの奥様もピアニスト
「(ランランの)奥さんもピアニストなんですよね、美人だし上手いし」
ランラン夫人はジーナ・アリスというかたでドイツと韓国のハーフだそうだ。
写真はみたことがあったかと思うのだが、ピアノの腕前がどれくらいかは知らなかったので、下の動画、ランラン夫妻の「ハンガリア舞曲」連弾を拝見。
奥様は美貌はもちろん、ピアノの腕前も相当なものらしいね。
しかし私が気になったのは、奥様がやたらじーっとご主人を見つめていることだった。ダンナの顔なんか見飽きているだろうになんで?
それに練習しているとき、ランランは妻に苦言を呈したりしないのだろうか?
「そこ、もうちょっとレガートに」とか
「僕のテンポにあってないよ!」とか。
私からしたら、夫婦二人がプロのピアニストで、一緒に練習・連弾したりするなんて信じられない!
ピアノも妻も性格も非の打ちどころがない
また先生の教え子のひとりで、今はロンドン在住のかたがランランのマスタークラスを受講したそうだが、ランラン先生は本当にお優しかったそうだ!
「実際に接したひとがそういうのだから、本当に優しいかただと思うのよ!」
そうか、それではピアノも妻も性格も素晴らしく、非の打ちどころがない、というわけか・・・
実は先日、友人たちとの集まりで、「大谷翔平は野球がすごくて、ルックスがよくて、性格もよく、どこかに非はないのか?」という話題になった。
ピアノはランラン、野球は大谷翔平。
やれやれ、上を見ればきりがない・・・