ピティナステップで合格するために
ご縁のない方のために、かいつまんで言うと、これには23ステップとフリーステップの2種類がある。
私が今回受ける23ステップは、評価が高い順から5段階(S, A, B, C, D)となる。
「合格」をもらうには最低C以上。
D評価の場合は「また来てね~」となるようだ。
そして「暗譜」は絶対強制でもないが、暗譜で弾くか弾かないかも評価の対象となると明記されている。
そして途中まで問題なく弾けていて、しかし突然、「あ、忘れちゃった!」という、いわゆる暗譜飛びでリタイアしてしまった場合、D評価となるらしい(あくまで、らしい、で本当のところはよくわからない)。
だとしたら安全パイで最初から最後まで楽譜を見ながら弾いて、そこそこの点数を狙うのが望ましいのか、それとも一か八かで楽譜なしの暗譜で、勝負にでたほうがいいのか?
私にしたら一大事の悩み事であるが、夫ちゃんにしてみればどうでもよいことこの上ない。
私の悩み様があまりに滑稽だったのだろうか、彼は冷たく言い放った。
「『合格』を墓石に刻んでほしいの?」
「合格」を墓石に刻みたいわけではない
きょうこの話をクラシックピアノの先生にしたら、大いに受けた。
ガハガハ笑いながら、
「さすがフランス人らしいユーモアというか、皮肉ですね!
日本人ならちょっと思いつかないな!」
私も言われたときは腹が立ったが、こんなしょうもないことであれこれ悩んでいる自分がいっきょに可笑しくなってきた。
自分を客観視できるとユーモアも理解できるらしい。
そうだよなぁ。
いくら生前、輝かしい功績を打ち立てたひとだって、それを墓石に刻む人はいないよなぁ。
トランプさんならそれぐらいやるのだろうか?
それに日本人には、墓にことばや文章を刻む習慣はないのでは?
たいてい「〇〇家の墓」で終わっていないか?
知らんけど。
ドビュッシーの墓の裏側
さて、ドビュッシーである。
19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスの印象主義音楽を代表する作曲家として有名なかたであるが、その墓の表側は「クロード・ドビュッシー」としか刻まれていない。
しかし裏側は下記のようになっている。
刻まれている文字は
フランス人音楽家
1862年8月22日ー1918年3月25日
彼の娘も妻も彼と共にある
進むべきはピアノ?医学?
そして日本人にはあまり思いつかないユーモアをもう一つ。
私の先生のアメリカ人の恩師、ヴィクター・ローゼンバウム氏が、ピアノと医学の両方に秀でた生徒から、将来どちらの道を選ぶべきか、アドバイスを乞われたときの話。
kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com
ローゼンバウム氏の返答は
「医学」。
そのココロは
「ピアノは趣味でもできるが、手術は趣味ではできないから」
なるほど、ピアノなら職業にしなくても、趣味として、細々とでもよいから長く続けられるだろう。
しかし「手術」はねぇ。
誰かに向かって、
「ちょっとあなたのカラダを手術させていただけませんか?
私、切ったりはったりするのが趣味なんです!」
とは言えないだろう。
ふつうなら、
「ピアノで食べていくのは大変だから、医学のほうがいいですよ、儲かるし」
と言いそうなものだが、それよりずっとユーモアに満ちた、含蓄のあるアドバイスだと思う。
それにフランス人みたいに皮肉っぽくないから毒がない!