映画「シンドラーのリスト」に使われたイギリス組曲2番プレリュード
きのうの記事で、映画で使われているクラシック曲なら好きになることが多い、と書いた。
そこでまた思い出したのは、いまを去る約20年以上前に、映画のシーンで聴いて好きになったにもかかわらず、いまだ着手さえしていない曲のことである。
なぜその曲に手つかずであるかの理由はあとで書くとして、映画「シンドラーのリスト」にバッハのイギリス組曲2番プレリュードが使われているのをご存じのかたは多いようだ。
だってネットでぐぐれば、さまざまな関連記事がでてくるから。
いちおうざっとそのシーンをご紹介すると、隠れているユダヤ人を襲撃するため、ある夜、ドイツ軍兵士がこっそりと集結する。
ユダヤ人たちは物音ひとつ立てずに部屋に潜んでいるのだが、ベットの裏、クローゼットの中に隠れていた彼らはことごとく見つかってしまう。
そしてなんとアップライトピアノのなかに隠れていた者が誤って音をたててしまい、その音でドイツ兵たちが「それ、ゆけ!」となるのだが・・・
ここでひとりだけ、「僕、ユダヤ人を追いかけるよりピアノ弾いているほうがいいもんね~」といわんばかりの若い兵士がいて、イギリス組曲2番プレリュードを弾きだす。
それを聞いた兵士1が、
「ありゃなんだ?バッハか?」
というと兵士2が、
「いや、モーツァルトだ」
と言う。
もちろんその答えは「ブーーー」なのだが、この兵士たちの音楽的教養はふつうレベルなのだろう。
ようするにバッハでも、モーツァルトでも、ベートーヴェンでも違いはわからないのだろう。
しかし私は銃が乱射される場面で流れる、無機質なイギリス組曲2番プレリュードが気に入って、映画を観終わったあと、どうにかして曲名を突き止め、
「いつかこの曲が弾けるようになりたい!」
と思ったのだ。
あれから約20年が経過しているが、私はいまだまったくこの曲が弾けない。
銃声のなかで聴くイギリス組曲2番プレリュード
なぜいままでこの曲が選べなかったか
いまだにこの曲を自主練でもやっていない理由のひとつは、この曲の長さにある。
バッハはインヴェンション、シンフォニアはいうまでもないが、パルティータも楽譜にすると、一曲の長さはだいたい2-3ページだ。
ところがイギリス組曲第2番プレリュードは、私の持っている全音の楽譜で8ページもあるのだ。
そしてページの終わりに片手でめくれそうな箇所はあまりない。
暗譜すれば?ということになるだろうが、こういう印象的なテーマが繰り返されるタイプの曲は、一度間違うとループ状になり永遠に終われない可能性もある。
今の私の記憶力ではちょっと自信がない。
過去に参加したバッハコンクールでこの曲を弾くことも考えたこともあった。
しかしあのバッハコンクールというのは、なぜかイギリス組曲やフランス組曲は中学生ぐらいが弾くのだ。
そしていい年をした大人はほとんどパルティータか平均律を弾く。
そのため私は自分の実力を顧みず、パルティータを選んでエラいめにあっている。
そしてもうひとつわからないのは、このイギリス組曲2番はピティナステップでのランクもあまり高くないのだ。
ピティナステップのランクは、やさしいほうからむずかしい順番に挙げると、
導入<基礎<応用<発展<展開
となる。
たしかイギリス組曲2番プレリュードは発展どまりだったはず。
対してドビュッシーの「月の光」は展開なのにね。
ということは、月の光のほうがむずかしいということ?
月の光が合格できなくて何か月もかかっている私がいうことではないが、私にはテンポの速いイギリス組曲2番プレリュードのほうがむずかしく感じるのだが、どうだろう?
もし月の光のほうが難しいとされるのならば、それはフラットの数が5つの変ニ長調だから?
そしてイギリス組曲2番プレリュードはbも#もつかないイ短調だから?
どうもわからん。
というわけで、この曲どうしょっかなぁ。