ドビュッシーのパスピエは8月から
先日のクラシックピアノのレッスンの記録。
ブログというものをはじめて良かったと思うことは、レッスンの曲を始めた時期がわかるということ。
自分のブログを調べて初めて、ドビュッシーのパスピエは8月からやっているのだ、とわかり一驚した。
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これを1月の発表会まであと2か月もやるのか、と思うと気が遠くなる。
かくしてたまにはポップスに逃げることになるのだが、夫はジャズやポップスを音楽と認めていないので、あまりこれらを弾きすぎないようにしている。
ウチは六甲山の山あいにある集落なので、夜中にピアノを弾いても問題ないが、同居家族には気を使うのだ。
ママチャリ vs マセラッティ
パスピエはいつも先生にゆっくり練習をすすめられるので(言うまでもなく私はやっているつもりなのだが)、その日は最初から、
「きょうはゆっくりで弾きます」と宣言した。
その日弾いた速度は♩=110 くらいだから、前回よりも30くらい落としたことになる。
自分で弾きながら、「これはママチャリだ」と思った。
ママチャリで、うろうろと近所の家を物色しているような雰囲気である。
チョ・ソンジンさんの190だと、ポルシェかマセラッティになるのだろうけど。
ちなみに私はマセラッティがどんな車なのか知らない。
ただ夫が、マセラッティという車がどれほど高いか、そのマセラッティで業務スーパーに乗りつけた人を見た、と先日興奮気味に話していたのを聞いただけなのだが。
ママチャリ風パスピエで褒められる
弾き終わった後、先生がおっしゃったのはまさかの言葉だった。
「前回よりすごくいいです。mp、pの弾き分けもできているし、ドビュッシーが楽譜に書きこんだことを正確に伝えようとする意図も感じられます。 私はとても嬉しいです。」
先生のところにレッスンにきてから1年8か月ほどだが、今までこんなに褒められたことはなかった。
私は照れくさくて、モゴモゴ。
「今までも強弱には気をつけていたつもりなんですが、テンポが速いとじゅうぶんにできていなかったのかもしれません」
「テンポが速いと上手そうに聞こえるんです。
それは聞いてくれる人のレベルによるから仕方ありません。
でも例えばコンクールのような場合ですと、今の弾き方のほうがずっと点数があがります」
コンクール!?
私はそんな恐ろしげなもの、もうすでに若気の至りで申し込んでしまったバッハコンクールだけで十分です、といいたいのだが。
観客のレベルのいろいろ
もちろん、きょう弾いたのが完璧というわけではないので、その他いろいろ細かいことをご指導いただいたあと、先生宅をあとにしたのだが、先生がおっしゃった「観客のレベル」ということばが気になった。
帰り支度の雑談の際におっしゃっていたのが、演奏会などで渾身のソナタのあと、アンコールで「子犬のワルツ」をさらっと弾いた時、観客から
「子犬のワルツがとても良かったです」
と言われるとガックリきてしまうそうだ。
そういわれて私は先生が直近で弾かれた、サン・サーンスのOp.70を思い出した。
そう、あれはたしかに力作だった。
あのときのアンコールは何だっけ?
子犬のワルツ?
私、いくら何でもそんな失言はしてないよね?
でもこれからやらないとは限らない。
私の耳がプロの批評家レベルになるのを待つよりも、誉め言葉を吟味したほうが近道かもしれない、と思ったのだった。