夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

アレンジしだいでガラっと変わる「シェルブールの雨傘」挿入歌

梅雨の季節なのでまた「シェルブールの雨傘

きのうの記事で「シェルブールの雨傘」に出てくる宝石商ローラン・カサールのことを書いたが、まだ書き足りないことに気がついた。

連続して読んでいただいているかたがいらっしゃったら、「またか!」と思うかもしれない。

しかし私はやっぱり書きたいことしか書けないなぁ。

そう言えばこのごろ、クラシックピアノ関係のことは書いていないことに気がついた。

クラシックピアノは弾いているんだけどね。

でもそれについて書きたいことはきょうはないし、「シェルブールの雨傘」も梅雨の季節にはいいんじゃないか、と思い、あえて続きを書くことにする。

オリジナルの「カサールの語り」

きのうも書いた通り、「シェルブールの雨傘」では宝石商ローラン・カサールがジュヌヴィエーヴの母、エムリー夫人に自分の過去を打ち明ける場面がある。

Autrefois, j'ai aimé une femme.

昔、私はある女性を好きになりました。

Elle ne m'aimait pas.  On l'appelait Lola,

その人は私のことを愛してくれませんでした。 ローラという女性です。

Déçu, j'ai voulu oublier. Alors, j'ai quitté la France. Je suis allé au bout du monde.

落胆した私は忘れるためにフランスを離れ、世界の果てまで行ったのです。

Mais la vie me paraissait sans attrait.

しかし人生に対しては、何の興味も持てませんでした。

Et puis le hasard m'a mis sur votre route.

そして偶然が私をあなたがたに引き合わせたのです。

Dès que j'ai vu Geneviève, j'ai su que je l'attendais.

ジュヌヴィエーヴに会ったとたん、私が待っていたのは彼女だということがわかりました。

ここで歌われる歌(といっても映画全体が歌なのだが)は↓のとおりで、「Récit de Cassard 」(カサールの語り)という題名がついている。

オリジナルはゆったりしたテンポで半音使いが多い、いかにもミシェル・ルグランといった曲。

しかもサビ部分で転調している。

これ結構むずかしいわぁ。

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スィングする「Watch what happens」に変身

ところが誰が最初に始めたのか知らないが、これに「Watch what happens」という英語タイトルがつけられ、ジャズ、ポピュラー、ボサノバの分野でスタンダードナンバーとなっているのだ。

↓でご紹介するのはトニー・ベネットナタリー・コールのデュエット。

軽くスィングするゴキゲンな歌で、「誰かが君に手を伸ばし、君に触れようとする。なにがおこるかみてみよう」(誰かってあんたなんでしょ!)という能天気な歌詞。

そこにはローランの失恋の過去話のかけらもない。

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セルジオ・メンデスのボサノバ編が最高!

でも私が一番好きなのは、ボサノバ編。

どうしてこの曲ってボサノバが似合うんだろう。

半音使いのミステリアスな雰囲気が、ボサノバの気だるい気分にあうからだろうか?

お気に入りNo.1はなんといってもセルジオ・メンデス

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こんな風に、どんな料理方法でもおいしくいただけるのは、素材がいいからだと思う。

焼いても煮てもおいしいミシェル・ルグランの曲はまるで茄子みたいだ、と思うのだった。