多彩な演目を楽しんだ音楽祭
さて自分の弾く番が終わったらしめたもの。
私はすっかりリラックスしてあとの演者の演奏を楽しんだ。
オリジナル曲あり、弾き語りあり、チェロとのアンサンブルあり、おおっ これは思ったよりも楽しい「発表会」ではなくて(失礼)「音楽祭」ではないか!
なかでも秀逸だったのが、アンサンブル部門でチェロを弾かれた男性。
この方は私たちが審査を待っている間も、ステキな演奏を披露してくれた。
私はてっきりプログラムにお名前が載っているのと思い、アナウンスに注意していなかった。
ところが家へ帰ってからプログラムをひっくり返してみても、お名前は掲載されていないのだ。嗚呼!
でもお写真を撮っておいたから、いつかどこかで演奏を聴く機会があったら、わかるかもしれない。
普段着で賞状をもらってしまった
チェロの音色に心を奪われているうちに審査発表がはじまった。
各部門ごとに予選通過者のエントリー番号、ついで一位のみ氏名が読み上げられ、壇上にあがることになっているらしい。
私もねむいゆめこではない本名が読み上げられ、嬉々として壇上に上がった。
ところがね。
私は自分の演奏が終わるやいなや(as soon as というやつ)ドレスとパンプスを脱ぎ捨て、Tシャツとパンツ、スニーカーに着替えていたのだ。
まわりのかたは、ほとんどみな美しいドレスのままだったから、ちょっと場違いだったかなぁ。
おまけに表彰状を手渡しされたのが、憧れの土師さおり先生からのせいか、よけいにバツの悪い思いをした。
来年、もしまた参加するのだったら、万が一の場合を想定して「着替えは最後で」を、肝に銘じておこう。
参加者の気持ちによりそった好意的な講評がほとんど
帰り間際に受付によるとピンク色の封筒が手渡された。
これには各先生が書いてくださった講評がはいっていた。
朝の10時からひたすら鉛筆を走らせていた先生方のご苦労を思うと、申し訳ない気すらする。
文言は参加者の気持ちに寄り添ってか、おおむね好意的なもの。
- ジャズのリズム、ムードにぴったりとあった音色
- 軽い弱音、スタカートのアクセントなど多彩な音色
- 心地良い音選び、センスの良さをとても感じます。
ただひとつだけ、あれっと思うのがあった。
- 音をしっかり出すときに時々タッチが強くなりすぎるので気をつけてください。
あのぅ、これジャズなんですけど。
ジャズでは小さな音はできるだけ小さく、メリハリをつけてアクセントはできるだけ強く、というのが王道だと思うんですけど・・・(私ってやっぱり文句が多い?)
エリーゼ音楽祭 vs バッハコンクール
私が参加したほかのピアノコンクールはバッハコンクールだけなので、あまり比較にはならないかもしれないが、どちらも審査員からの講評がいただける点においては比較対象になるかも。
バッハコンクールでは講評だけでなく、小数点以下1位までの点数で演奏が評価される。
また、どういう基準で決めているのかはわからないが、予選通過のための基準点というのがあって、それより1点以上足らないと、「あ~ まだまだあかんのやなぁ、ガックリ」という気にさせられる。
0.2~0.4ぐらいだと、また頑張ろうかな、という気になるけれど。
でもエリーゼでは点数評価がない。
相対評価がないとも言えるのではないか。
だからみんなこれが好きか、というと意外にそうでもないかもしれない。
世の中には他人と比べてこそ、アドレナリンが放出されて、燃える人がいるものだ。
そういう人にはエリーゼ音楽祭は物足らないだろう。
でも私はけっこう気に入った。
第一、ジャズピアノをソロで弾けるコンクールはこれ以外知らないし。
よし、これからも節約して全国大会の参加費を捻出せねば!