私のピアノへの想いは先生よりも熱いか?
先日のエリーゼ音楽祭でのこと。
控室でいっしょになった女性が素晴らしく美しく、またお似合いのドレスを着ていたので、私にしては珍しく初対面の人に声を掛けた。
「とてもきれいなドレスですね。
どちらで買われたのか聞いてもいいですか?」
そこから思いのほか、ピアノレッスンや師事している先生のことで話が弾んだ。
彼女は先生のすすめでこのコンクールにエントリーすることになったと言う。
そこで私は、今回ジャズでエントリーしているのだけれども、クラシックも習っていて、でもどちらの先生にもコンクールのことについて話したことがない、と言った。
すると彼女はとても驚いて、
「それって先生の想いより生徒の想いのほうがずっと熱いってことですよね?」
うーん、そうか。
私はそんなに暑苦しくて熱心なのか? 先生よりも。
というよりも先生方は、私にコンクール受験を勧めてみじめな結果に終わったら、私が可哀そう、または私からクレームがくる、と思ったからだと思うが。
少なくとも前の二人の先生はそう思っていたと感じている。
では今の先生はどうなんだろう?
エリーゼ音楽祭ってご存じでしょうか?
きょうのクラシックピアノレッスンで、私はまず先生に、
「エリーゼ音楽祭ってご存じでしょうか?」
と聞いてみた。
すると
「聞いたことはあります」
あ、やっぱりその程度なんだ。
そこで私はエリーゼ音楽祭には、クラシック部門だけでなくポピュラー・ジャズ部門もあること、ある一定の年齢以上のかたを対象にした部門もあること、本来私も年齢から言えばその部門にエントリーすべきなのだが、今回はジャズにしたこと、などを若干面白おかしく説明した。
審査員の先生に書いていただいた講評もお見せしたが、先生は土師さおり先生の名前を目にして、
「あれ?このかたクラシックじゃないの?」
そうなんです。先生。
予選だけかもしれませんが、エリーゼではジャズもクラシックの先生が評価するんです。
すると先生は
「へぇ~」
と首を傾げていた。
さすが先生、鋭い!
SAUTER(ザウター)というドイツ製ピアノ
先生とはその後、コンクールの中身よりも、予選会場のピアノのことで話が盛り上がった。
神戸芸術センターのシューマンホールのピアノは「SAUTER」(ザウター)というドイツ製。
私はどうしてもソーターとかソテールとか読んでしまい、なかなか覚えられなかったのだが。
ドイツ製ピアノと言えば聞こえはいいが、このピアノ、なんというか、音色に特色がなく響かないのだ。
先生も「一回弾いたことがあるが、弾きにくかった」と評価しなかった。
それにしてもなんでドイツ製、ヤマハにしておけばよかったのに。
これを夫ちゃんに言うと、
「日本人はドイツ製だというと有難がるからだ」
悔しいけれどそれが真実な気もする。
大人の生徒さんもいろいろ
もちろん先生からは予選通過についておめでとうと言われたし
「これで4年ぶりに東京へ行けるんです!」
というと
「すごい!」
とも言ってくださった。
しかしエリーゼ音楽祭については興味津々というわけではないように感じた。
でもいいのだ、私は。
だいたい一口に大人の生徒さんといっても、さまざまなタイプのかたがいる。
発表会さえ出たくない、というかたもいれば、私のように勧めてもいないのに、勝手にコンクールにエントリーする出たがりもいる。
それだけ出たがりなら、パーティーとか大人数での集まりが大好きと思われがちだが、そういうのは苦手なゆえ、できるだけ避けて生きている。
大人といってもいろいろな種族がいるのだ。
先生も個々に対応するのは大変だろう。
だからちゃんと教えていただいているだけで、私はじゅうぶん満足しているのだ。