アヤ・ナカムラって誰やの?
アヤ・ナカムラという歌手を知っている日本人は全体の何パーセントいるのか?
世情に疎い私が言うのもなんだが、彼女の日本での知名度はかなり低いと思うのだが。
私だって、最初アヤ・ナカムラの本名は中村綾で、日本にルーツをもつ歌手だと思っていた。
ところが彼女と日本の関係は一切ない。
アヤ、つまりAYAは彼女のルーツ、マリ(アフリカ)ではよくある名前で、ナカムラはアメリカのTV番組の登場人物からとったらしい。
うちの夫ちゃんでさえ、
「なんでこんな芸名にしたんだろうねぇ」
と言うが、私も同感である。
とにかくアヤ・ナカムラはエディット・ピアフ以降、フランス語圏の国と地方でもっとも聴かれた歌手で、代表曲「Djadja」はYoutubeの再生回数8億超えの大ヒットだと言う。
そして今回のパリオリンピック開会式でも歌声を披露する予定だったのだが、それをよしとしない極右、および彼女の歌を好まない人々のあいだで論争がおこり、「結局どうなったんだろうね。」とフランス語のムッシュー先生も心配していた。
それでちょっと私もこの論争についての記事をいろいろ読んでみることにしたのだ。
アヤ・ナカムラの大ヒット曲「Djadja(ジャジャ)」
ここで彼女の代表曲「Djadja(ジャジャ)」を聴いて見よう。
ジャジャとはマリのことばで、とりえのない月並みな男のことを指すらしい。
アヤ・ナカムラをめぐる人種差別論争
ことのおこりを時系列で並べてみると
- マクロン大統領がアヤ・ナカムラにオリンピックの開会式でエディット・ピアフの歌を歌ってほしいと頼んだ。
- 彼女は承諾し、「ピアフは大好きだ」と答えたらしい。
- しかし彼女はのちにインスタグラムのビデオで「ピアフって誰?」と投稿した(この真意がわからない:なんでピアフの歌を歌わなあかんの?私の歌ではなくて、ということ?)
- 極右グループがセーヌ岸に「どうしょうもない、アヤ。ここはパリでバマコ(マリの首都)の市場じゃないんだぞ!」という人種差別的な横断幕を掲げた。
- アヤ・ナカムラへの人種差別についてリクラ(人種差別と反ユダヤ主義をめぐる国際連盟)からの報告を受けた検察が捜査を開始。
アヤ・ナカムラのヒット曲を分析した動画
政治的なことを深堀りするのは、私には似合わないので、音楽的にアヤ・ナカムラの曲はどうなんだろう?と調べてみた。
そして次の分析動画がとても参考になって面白かった。
ミュージシャンであるユーチューバー氏はどちらかというと、アヤ・ナカムラの音楽については否定的で、今までまともに聞いたことがなかったらしい。
氏の分析をおおまかに言うと
- ジャジャのコード進行はありきたりなもの:Dm➡B♭➡Gm➡C
- リズムは下記で、他の曲にも使われている。
氏はピアノを弾きながら、「あ、ここは好き!」という箇所が数回あったが、問題は歌詞。
フランス語ネイティブであるらしい氏にはまったく理解できない語句が多数あるらしい。
つまりそれはアヤ・ナカムラのルーツである西アフリカの用語だったり、パリ郊外の若者のことばらしいのだ。
だから伝統的なフランス語を重んじる人たちは、彼女の歌に眉をひそめるらしい。
この分析氏もお若いようだが、彼女の歌詞には「vulgaire=下品」なところがある、となかば顔をしかめるように言っている。
さあ、アヤ・ナカムラはオリンピック開会式で歌うのか?
歌うとしたら、ラップ風「バラ色の人生」か「愛の讃歌」なのか?
楽しみだなぁ。