恐怖の初見歌伴は散々の出来
先日のジャズピアノアンサンブルの反省会。
師からは
「2曲ともよかった、よかった。
ベースやドラムの動きもよう見てたし。
そやけど歌伴はあかんかったなぁ、もっと勉強せなあかんなぁ」
と言われた。
歌伴とは文字通り、歌=ボーカルの伴奏であるが、練習会では、ピアノの生徒は予告なしにボーカリストからリードシートを手渡され、すぐさま初見でボーカル、ベース、ドラムスとあわせるというものだ。
私たちのジャズスクールでは通常、これに「恐怖の」という形容詞をつけて、ピアノの生徒はみな、「恐怖の歌伴」と呼んでいる。
過去、何回かこれを経験したが、この怖さにはいまだに慣れない。
そして先日のも散々だった。
終わった直後、師からは
「ボーカルはよかった」
と言われ、ピアノの私はうつむくばかりだったのだから。
スローの目安は♩=60
この日の敗因は第一にテンポ。
イントロを弾く前に、ボーカルさんからは「スローで」とは言われていたのだが・・・
私が弾きだしたテンポは全然スローでなかったらしい。
師は言うには、
「♩=90ぐらいあったで」
というが、それは大げさでしょ!
「ウーン、♩=80 ぐらいか、それでもな、スローいうのは♩=60ぐらいでないとあかんねん。それをあんたが♩=80 で弾きだすからな、ボーカルさんは焦ったやろ。そやけどさすが、あのひとはうまいこと歌ったわ」
このときのボーカルさんは、ジャズスクールにもう20年通っていて、今ではライブハウスにも出演する実力者。
ごめんね、ひどい伴奏で!
しかし♩=60というのはどうやったら身に着くのだろうか?
私の体内時計に組み込むことが可能なのだろうか?
♩=60はNHKの時報を思い出して
師は「簡単や」と言う。
「♩=60ゆうんは、人間の脈拍といっしょやろ。
あ、興奮してたらもっと速いか。
ポ・ポ・ポ・ポーッてゆうやつ。 古いか?」
いえ、古いのはわかります。
師と私は同世代ですから。
いったい、いつぐらいまであったのだろう?
そして若い人にはもはやこの話をしても通じないのだろうか?
なぜバッハではテンポは遅く感じないのか
なるほど、わかった。
特に午後7時というのは、両親がいる時代、ウチでは夕飯の時間でもあり、NHKニュースを見る時間でもあった。
もうこれからはスローでは悩まない。
しかし私にはどうしても解せないことがある。
それは♩=60のテンポでバラードというのは、私にはもう途中で寝てしまいそうなかったるさである。
せっかちな私には間がもてない。
私にとって心地よいテンポというのは、いくらなんでも♩=80以上といいたいところだ。
なのに今クラシックで練習しているバッハ パルティータ2番カプリッチョで♩=80はそれほど遅いテンポには感じない。
先日、レッスンで弾いた時は♩=90ぐらいだったと思うが、先生からそれ以上テンポをあげないように、と言われたので、♩=85 をターゲットにしようとしている。
そして16分音符の長さを正確に弾くために、メトロノームを♪=170 にあわせて練習しているのだが・・・
このテンポでも余裕があるとは感じられない。
なんでジャズでは♩=80は余裕なのに、バッハでは額に汗して弾かねばならないのだろう?
たぶん、バッハでは16分音符が多い、というかほとんどそればっかりのせいだよね?
音価が短い音符が多いと、テンポ感は体感として速く感じるんだよね?
と推量するのだが、自信はない。
本当のところ、どうなんだろう?