ロシアのウクライナ侵攻以来、話題の映画「ひまわり」
ロシアのウクライナ侵攻以来、なにかと話題になっている1970年のイタリア映画「ひまわり」だが、私はこれを公開当時の中学生のときと、ずっと大人になってからも1回みている。ところが映画の後半についてはほとんど覚えていない。もちろんいわゆるハッピーエンドでなかったことぐらいは覚えているが・・・主人公のジョバンナ(ソフィア・ローレン)が別の男と結婚したのか、その子どもをもうけたのか、記憶があいまいなのだ。
可哀そうすぎて涙と鼻水のせいで後半まで覚えていない
なぜ後半を覚えていないかというと、戦地に向かったまま帰ってこない夫、アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)の写真を携えて、ジョバンナがモスクワ中を歩き回り、見知らぬ人にそれを見せて尋ね廻るところから、もう私は涙で画面が見づらくなり、鼻水が垂れそうである。
そしてやっとジョバンナが夫の姿を認め、彼がかの地で美しい妻と幸せな生活を送っていることを理解したとたん、動きだした列車に飛び乗り、車内で号泣するところで、私も堰を切ったように涙が流れ、嗚咽を他人に聞かれないようにハンカチを口に押し込むことになってしまう。そして記憶はそこで途切れ、その後のジョバンナとアントニオの心の軌跡を追うまでに至らないのだ。
当時は反戦よりも悲恋映画だった
今でこそ、この映画を反戦映画ととらえる向きが大勢を占めているようだが、公開当時はなんといってもイタリアの国民的俳優が演じる「悲恋映画」と評されていたように思う。
もちろん公開当時は映画館でみるしか方法がなかったのだが、当時の中学生は熱心に映画館まで足を運んでいたらしい。私より先にこの映画をみたクラスメートの女の子は、「これ、めっちゃオトコが悪いねん。勝手にあっちで結婚しててイタリアに帰ってこえへんねんで」と言っていた。
そう教えてくれた彼女はすばらしく勉強ができて、明るく人望があってクラスの女王様のような存在だった。私は彼女のすすめで映画を観てから、「ホンマや、あの子のゆうとおりや」と思ったのだが、あれから何十年、世界はそんなに簡単ではないし、大人の事情は複雑だ、というのもわかったつもりである。
ひまわり畑はウクライナであってロシアではなかった
しかし、ロシアのウクライナ侵攻がなければ、この映画のひまわりがいっぱいのシーンはウクライナだったのだ、と知ることはなかっただろう。1970年はまだまだウクライナはソ連の領土内だったし、ウクライナとロシアにはそれぞれの言語と歴史、文化があることなど、よほどの東欧通でないと知らなかっただろう。
だから下記のNHKの記事を読んで、撮影場所がヘルソン州でもチェルニチー・ヤール村でもどっちにしたって、ロシア=ソ連ではなかったのだ、ということを知り感慨にふけるだけである。
【自撮動画】映画「ひまわり」のテーマを胸いっぱいの涙で弾いてみた
「ひまわり」のテーマは、「ムーン・リバー」「シャレード」「酒とバラの日々」を書いたヘンリー・マンシーニの手によるものである。
コード進行はサビ以外、いわゆるツーファイヴ(II➡V)の連続で、全然むずかしくない。これさえ覚えておけば、クラシックのような暗譜は必要ない。それだからといって個性ある演奏ができるか、といえば別問題だが。
私はこれをクラブでソロピアノを弾いていた時代のレパートリーにしていたので、運よく今でも覚えていた。やはり若い時にやったことは覚えているものなのだ。
若いってすばらしい。よろしければぜひお聞きください。