夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

雪村いづみさんと78回転レコードの思い出

雪村いづみ 78回転SPレコード

映画「ジュディ 虹の彼方に」で思い出したこと

先日、映画「ジュディ 虹の彼方に」という私にとっては大変面白かった映画をみたので、それについて記事を書いた。この映画は私に、ほとんど忘れかけていたことを思い出させてくれたのと、新しい発見もあった。第一には、その昔、結構好きで自分のレパートリーにしていたのに、最近ではほとんど弾かなくなっていたスタンダードナンバーの「虹の彼方に」(Over the rainbow」。第二には本物のジュディ・ガーランドの歌声は雪村いづみの声とそっくり、ということだった。

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元祖三人娘のひとりが雪村いづみ

雪村いづみと聞いてご存じのかたは少なくとも私の年齢と同じか、それより上ではないか、と思う。昭和30年代には、美空ひばり江利チエミと並んで「三人娘」と称されていたスターの一人だった。この三人のうちで、美空ひばりがいちばん「和」のテイストに近く、江利チエミは「テネシー・ワルツ」というカヴァーのヒット曲もあったから「和洋折衷」で中くらい、そして雪村いづみがいちばん「洋」、今や死語となったかもしれないが、バタ臭かった。たぶん進駐軍のクラブで歌っていたからだろう。

話はそれるが、なんでアメリカ軍、とか米軍とか言わずに進駐軍と言うのだろうね?変だなあと大人になってからも思っていた。ただ、エンタメの世界になると、そのキャリアのなかで進駐軍のお仕事をしていた、となると本場仕込み➡上手いと世の中の人は思う傾向があったみたいだ。ああ昭和、昭和は遠くなりにけり

78回転のレコードはぶんぶん回って怖かった

この三人娘のなかで、私が一番好きだったのは、もちろん雪村いづみだった。そのよく通るのびやかな声、パンチのきいた歌い方に魅了された。ウチには78回転の彼女のレコードがあり、子どものときよくかけた。ただ78回転というと、レコードがレコード盤からすっ飛びそうなくらいの勢いでぶんぶんまわる。45回転33回転と回り方が全然違う。雪村いづみの他にもドリス・ディのがあったが、いつも途中でレコードが飛んで行ってしまうのではないかと恐ろしく、かけるのにずいぶん勇気がいった。

A面の「青いカナリヤ」は「ちくわと野菜」?

雪村いずみのレコードはA面が、「青いカナリヤ」。ダイナ・ショウによる1953年のヒット曲だが、もちろん子どものときはそんなことは知らない。ただ物悲しいメロディーとカナリヤを模した効果音に魅せられたのだ。ただしこれも当時は本物のカナリヤが鳴いているのだ、と思い込んでいた。

また歌では歌詞の2番が英語になる。She cries and sighs and tries to tweet...のところのShe cries and sighs が幼少の私には「ちくわと野菜」に聞こえた。「なんでちくわ?なんで野菜?」と不思議だったのだが、どんな耳をしているのかと思うと、恥ずかしくてたまらない。

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涙なしに聴けないB面の「オーマイパパ」

B面は「オーマイパパ」。エディ・フィッシャーのカヴァーだと思う。子どものときから「オーマイパパ、帽子をよこっちょに~」だけを覚えて歌っていたが、この「パパ」がすでに亡きひとであり、今は亡きパパを悼む歌であることには気がつかなかった。なぜだろう?

ようやくこの歌の意味に気づいた今、私たちのパパもこの世にいなく、涙なしではこの曲は聴けない。もう歌うこともないだろう。ただ、忘れないために貼っておくのだ。

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