そういえば、ジャズは裏拍の音楽だ
クラシックピアノでアナクルーシスを意味する一連の動作のことを、ジャズでは「おばけ」と呼ぶらしく、これをやるとスピードが損なわれるため、極力避けるべし、というのが前回の記事の要旨である。
ところが、これには続きがあって、なんと私はこのハナシをお付き合いを始めさせていただいてまだ日の浅いクラシックピアノの先生に、質問というカタチで話題にしてしまったのである。
なんとなれば、クラシックピアノの先生はれっきとした東京の音楽大学をご卒業されているが、ジャズにも造詣が深いと聞いていたので、もしや、と思い、もごもごと聞いて見た。
「あのう、先生。このふわっとした手の動きなんですが、ジャズを弾く時にはあまり向かないと聞いたんですけれど、どうでしょうか?」
すると先生は、
「ジャズは裏拍の音楽ですからね。また違うと思いますよ!」
日本人の裏拍リズム感なしは本当か?
さあ、きた。
今度は表拍・裏拍の問題だ。
日本人は裏拍がとれない、裏拍がとれないのは日本語のせい、裏拍がとれないから日本人はリズム感がない、リズム感がないから、日本人はなにをやっても民謡か盆踊りになる、だから日本人にジャズは無理etc...
まぁ思いつくだけでも、日本人と裏拍に関する都市伝説(?)は多く、ニューオリンズ生まれでもない限り、フツーの日本人なら、クラシックではない大衆音楽(ジャズ・ロック・ポップスその他)にたいして腰が引けそうである。
そもそも表拍・裏拍とは?
ところで、文章の流れから言って、表拍・裏拍についての説明をするべきだよね。
でも残念ながら、私は音楽の専門家ではないのだ。
なので、以下のサイトを要約すると、「(引用始め)『1,2,3,4,』というリズムのうち、数字が表拍、読点で表した『、』が裏拍です。」ということになるらしい。
え、そんなん簡単やん?!
イヤイヤ、そんなに甘いもんやないで~~
1970年代のアリスのファンの手拍子
先日、このブログで「懐かしのメロディー」のひとつとして、アリスの「帰らざる日々」の記事を書いた。
このときに気がついたのだが、1:00ごろから始まる手拍子では、観客のみなさんは表拍で叩いている。
いちおう、これポップスソングだよね。
バンドのリズムは チャ、チャ、チャ で裏拍を刻んでるけどね。
ライヴはたぶん1970年代後半だと思われるので(谷村氏の頭髪のフサフサ具合からいって)、2023年の観客だったら裏拍で叩くかもしれないけど。
日本語と裏拍の関係
私はなにも「だから、日本人は~~」という気は毛頭ない。
だって谷村氏は日本語で歌っているし、
バイ バイ バイ わたしの こころ
というように表拍にアクセントをつけてるからね。
だから谷村氏も他のバンドのメンバーも表拍の手拍子を心地よく感じていたのかもしれないし・・・
結局、なにがいいたいのか、というと、裏拍は日本人にはどちらかというと馴染みの薄いリズムのとり方で、ひとによっては裏拍で手を叩け、と言われても、「そんなご無体な~」と思うかたもいらっしゃるのではないだろうか?
私もそのひとりかもしれず、ひょっとして、ジャズを弾くときはちゃんと裏拍でノレているのか、やっぱり自信がないのだ。