なぜ「夢想」のあとが「オデオン」なのか?
私が発表会の曲として、ドビュッシーの「夢想」のあとにナザレーの「オデオン」を選んだのは、まず練習する季節、夏にふさわしいから、ということだった。
しかし今年の夏は暑すぎて、ブラジルとかビーチとかを思い浮かべるだけで暑苦しい。
そして眠ったようなスローテンポのあとには、観客のみなさまに眼を覚ましていただくために、なにかこう、パンチのある曲がいいなぁと思ったのもある。
しかしこれも意外にむずかしかった。
なぜなら観客の眼を覚ます以前に、奏者である私が眼を覚まさないといけないからである。
「夢想」で消え入るような和音を弾いた後、次の「オデオン」に移るためにはまずしゃきっとその気になり、アウフタクトを決めなくてはならない。
先生は
「充分時間をとっていいですよ、しっかり数えてください」
と言われているが、せっかちで慌て者の私のこと、本番ではきっと「夢想」の和音もそこそこに、いきなり「オデオン」を弾き始めるのだろう。
それだったら、「夢想」と「オデオン」を続けて弾いて動画を撮ったほうがよかったかもしれない。
失敗したかなぁ。
とりあえずナザレーの曲のなかで一番人気の「オデオン」をお聞きください。
【演奏動画】ナザレーの「オデオン」
おしゃれなカフェよりコンビニのイートインへ
スタジオは2時までだったから、終わったらお腹が空いてきた。
こういうとき、以前はおしゃれなカフェを探していたものだが、最近はコンビニのイートインと決めている。
なんかだんだん生活レベルが落ちていくなぁ。
私が貧乏なのか、日本全体が貧乏くさくなってきたのか?
お気に入りのコンビニも決まっていて、映画「パーフェクト・デイズ」の平山のように三角形のサンドウィッチを買って、でも食べるのはイートインスペースなのだ。
ここのイートインスペース、31席もあるそうだが、テーブル席にひとがいるのはほとんど見たことがない。
みなさん、おひとりさまで孤独を楽しみながら孤食しているのだ。
私をも含めて。
でもここのコンビニ、外観はすてきなのだよ。
なんでも以前は洋菓子店の「ケーニヒスクローネ」の建物だったのをそのまま使っているとか。
神戸らしく元異人館かと思いきや、そうではなくてちょっと残念。
懐かしの「ミュンヘン神戸大使館」
そしてここまでくればお隣のビアホール、「ミュンヘン神戸大使館」の建物を眺める。
このビアホール、もう何年前からあるのだろう?
今はビアホールだが、昔はファミリー向けだったのか、私は両親に連れられて何度かここに来たことがある。
なぜそんなことを覚えているかというと、私の子ども時代には、そこで白髪の西洋人のおじいさんがドアマンをしていたからである。
彼の容貌は今の「ケンタッキー・フライド・チキン」のおじさんに酷似していた。
でもその頃はなかったよなぁ、「ケンタッキー・フライド・チキン」?
そのおじいさんの写真をネットで探したらなんとあったのだ!
当時、私は彼に声を掛けたくてたまらなかった。
質問事項は、
- おじいさんはドイツ人なのか?
- 日本には何年住んでいるのか?
- ドアを開けたり閉めたりの仕事は大変か?
などなど聞きたいことは山ほどあったが、内気で人見知りだった子どもの私にはとうとうできなかった。
そして今。
ビールも飲めない私はビアホールにはいる勇気がない。
ひとりではいって、ソーセージとフライドポテトの注文でも不審なおばさんと思われないだろうか?と入店をためらっているのだ。