「Beautiful Love」は何の曲に似ているか?
ジャズピアノレッスンでの新曲のひとつが「Beautiful Love」。
作曲者はヴィクター・ヤングで、ジャズのレコーディングはビル・エヴァンス、エディ・ヒギンズなど多数あり、ジャズ愛好家なら知らないひとはいないスタンダードである。
これは私からの希望で、師はこんなみんなが知っている曲は絶対に推さない。
でも私はスタンダードはいちおう全部さらっておきたいのだ。
私がこのリードシートを出してきたとき、師は格別イヤそうな顔もせず、さらさらっと弾いてくれた。そして、
「この曲なんかに似てへん?」
と聞いた。
私は一生懸命、脳ミソを働かせて、
「うーんと、なんかのロシア民謡でしょうか?」と言うと、
「ちゃう。『学生時代』や!」
私は「あ!」と小さく叫び、そう言えばそうかも、と納得したのだ!
ペギー葉山さんの大ヒット曲「学生時代」とは
「学生時代」とは、ペギー葉山さんが歌った1964年のヒット曲である。
このブログを読んでくださっているかたには古すぎて、どんな歌かわからなかったら申し訳ない。
でもね、私の子ども時代にはもう、すんごく流行ったのだ。
メロディーもさることながら、私は歌詞が特にお気に入りだった。
「蔦のからまるチャペル」とか「祈りをささげた日」とか「秋の日の図書館のノートとインクの匂い」なんて、まるで少女漫画みたいではないか。
ところがこれはペギー葉山さんと作曲者の平岡精二さんの出身校である青山学院のことを歌ったらしいのだ。
やっぱり同じキリスト教系でも関西とは違って東京のはおしゃれやね。
「Beautiful Love」と「学生時代」のコード比較
師はジャズメンでもあった平岡さんが、「学生時代」を作曲するにあたって「Beautiful Love」からパクったのではないか?と言うので、気になってちょっと考えてみた。
「Beautiful Love」のリードシートは以下。
そして学生時代はこうなる。
つたのからまるチャペルで 祈りを捧げた日
Cm Gm Am7-5 D7
夢多かりしあの頃の 想い出をたどればGm Am7-5 D7 Gm Gm Cm
なつかしい友の顔が 一人一人浮かぶCm Gm Am7-5 D7 Gm
重いカバンをかかえて かよったあの道D7 Gm F B♭
秋の日の図書館の ノートとインクのにおい
似ていると言えば確かに似ているけどなぁ。
特に冒頭の2小節。
でもマイナー系の歌でこんな始まり方はザラにあると思う。
そしてやっぱり最後かなぁ。
「my dreams come true」 と「学生時代」。
でもこれだけをもってパクリだというのはちょっと可哀そうやない?
一方、「秋の日の図書館の ノートとインクのにおい」のところでGmからFにいくところがオリジナルでカッコいいと私は思う。
なんかメジャーの和音になったせいで目の前が開けた感じ。
私なら絶対、Cmにしてしまって面白くも何ともないメロディーになってしまうだろう。
作曲者の平岡さんはヴィブラフォン、マリンバ、トランペット、アルトサックスも演奏する多才なかただったようだ。
戦中・戦後と活躍したジャズメンのなかにはいろんなかたがいたんだね。