夢でささやくピアノ

クラシックピアノとジャズピアノの両立を目指す、ねむいゆめこの迷走記録

サマにならない「ノルウェイの森」でノルウェイの森を彷徨う夢をみる

新曲は「ノルウェイの森」という難曲

月に2回、レッスンを受けているジャズピアノの進捗状況といえば、3月下旬にあるアンサンブル練習に向けて、ベースとドラムのお兄さんたちにはいってもらう曲を選択しているところ。今のところ「The end of a love affair」と「Lullaby of the leaves」はなんとかできあがった。それでもうちょっとほかのもやってみようか、と先生に言われて出た課題がなんと「ノルウェイの森」。あの村上春樹の、というよりビートルズの。あれをジャズで弾くの?どうやって?

簡単なコードで複雑な曲想がどうして可能なのか

先生がお手本を聞かせてくれたが、ハービー・ハンコック風に幻想的というか前衛音楽的な感じであった。

「これ簡単やねん。キーはGでもアドリブはCで弾いたらええねん。白鍵ばっかりや」とおっしゃるのだが。本当に白鍵ばかりをテキトーに弾いたらあんな風になるのだろうか?全体の曲のコード進行は下記のように、あれれ、というぐらい簡単なのだ。

こんな簡単なコードであんな曲が作れるなんて、やはりレノン=マッカートニーは天才というしかない。

|G   |G   |Dm/G  |G

|G   |G   |Dm/G  |G

Gm  |Gm  |C/G   |C/G

Gm  |Gm  |C/G   |C/G

|G   |G   |Dm/G  |G

|G   |G   |Dm/G  |G

昔はその良さがわからなかった

私がビートルズに凝っていたのは中学生のときで、彼らはすでに解散していたが、私はせっせせっせとお小遣いを貯めてはアルバムを買っていた。「ノルウェイの森」はアルバム「ラバー・ソウル」にはいっていたが、その収録曲を好きな順でいうと、「ミッシェル」「イン・マイ・ライフ」「ガール」で、正直「ノルウェイの森」はどうでもよかった。どうでもいい上に、アルバム発売当時は非常に話題になった、ジョージ・ハリスンが弾くインドの楽器、シタールも「どこがええんやろ」と思っていた。その報いを今ごろ受けるのか?今、聴くとシタールはともかく、曲想が現実離れをしていて面白い。特にサビのところが大好き。

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ノルウェイの森」というのは素晴らしい誤訳(?)

私の思考はまたここですっ飛ぶのだが、村上春樹氏が小説「ノルウェイの森」のタイトルを決めるにあたって、ドビュッシーの「雨の庭」とビートルズの「ノルウェイの森」とどっちにしようか迷っていたところ、奥様の陽子さんの意見で「ノルウェイの森」に決まった、というのをどこかで読んだ。

また原題の「Norwegian Wood」を「ノルウェイの森」と訳すのは確信犯的な誤訳で、正しくは「ノルウェイの木材」らしい、というのも読んだことがある。しかし「ノルウェイの木材」では小説のヒットは疑問だし、「雨の庭」さえもどうかな~と思うのだが。

今聴くと「ノルウェイの森」は幻想的かつ神秘的で、いかにもこの森を彷徨ったら小説の登場人物の直子のように、ありふれた「生」の世界には戻ってこれないような気さえする。それが妙に魅力的で不思議の世界に引き込まれそうなのだ。

ピアノが弾けなくて小説に走るという不思議

さて、肝心のピアノのほうだが、この幻想的かつ神秘的な雰囲気をだすべく悪戦苦闘を重ねている。先生がおっしゃるように白鍵ばかりを使ってみても、あまりのダサさに自分でも閉口する。たまに半音の黒鍵を使ってもどうにもならない。私が弾くと、場末のスーパーでカートを押しつつ、安売り商品を物色するときに似合いそうなBGMにしかならない。

さて、どうしたらよいかって?ここに走るか?と思うのだが、何十年も前に断捨離して手元にない「ノルウェイの森」を図書館で借りてきて再読をはじめたのだ。その感想・・・やっぱり面白い。まるで自分が大学生に戻ったような錯覚さえ覚える。あと何週間かしたら私にも「ノルウェイの森」が弾けるという奇跡が起こるかもしれない。