無料体験レッスンでの手土産についてグーグルに聞く
私はもともと世間の慣習に疎く、お中元、お歳暮をはじめとした贈り物に敏感ではない。
でももらうほうは嬉しいか?
いや、そうでもない。
好みの範囲が狭いので、あまり好きではない食べ物を大量にいただいたときは泣きそうになるからだ。
しかし今回の無料体験レッスンシリーズで、先生方の貴重なお時間をタダで奪うことに引け目を感じ、手土産ぐらいは持参したほうがいいのではないか、と思いついた。
うーん、どうしたらいいのかね?
こういうときはグーグルさんに聞くに決まっている。
もし母がもし生きていたとしても、今の時代の慣習については母も答えようがないであろう。
昔はなんでも母に聞いたら正解、だったんだけどね。
それでグーグルさん、というか、そういうことが載っているサイトには、
「無料体験レッスンには手土産はいらない。
しかし本当にお世話になることになった先生には、初回のレッスン時に手土産を持参したほうがいい」
と書いてあった。
なるほど!
先生のほうだって、断られた人からもらったお菓子なんておいしくないだろうしね。
もっとも断られる前に食べてしまえば、問題はないだろうけど。
おいしいパイ専門店
さて、新しいクラシックピアノの先生には何をお持ちすればいいか、と考えたが、先生にはまだ小さいお子様がいらっしゃるのを知っていたので、単純にお菓子でいいだろう、と思い至った。
そこで自分がおいしいと思うもの、プラスあまりにどこにでもあるものではないもの、ということで選んだのが、「芦屋カロル」というパイ専門店のお菓子。
ここ大好き。
おいしいし、値段もリーズナブルだし(もっとも最近の原材料高で、以前に比べれば価格はあがっていると思う)。
芦屋で第一に有名なのは「アンリ・シャルパンティエ」だろうけれど、最近はどこにでもありすぎてありがたみがない。
かといって、最近駅前にオープンした「ルイ・ロブション」のあの値段の高さ!
ケーキの小ささ!
私にはお話にならない。
というわけで、私は「芦屋カロル」で、いつも買うホールのアップルパイでなく、パイ菓子の詰め合わせを選ぶことにした。
手土産はいつ持っていくべきか
私の贈答用紙袋を目ざとく見つけた夫ちゃんが、
「え? 新しい先生にお土産持っていくの?
まだ、いい先生かどうかわからないじゃない!」
という。
「そりゃそうかもしれないけど、『今日からお世話になります』といいながら差し出したほうが恰好がつくでしょ」
「そんなの関係ないと思うよ。
2~3か月通ってみて、『ああ、やっぱりこの先生にしてよかった』と思ってから、持っていくのが一番いいと思うよ。
でないとまた前みたいに、『あ~、やっぱりこの先生もね~』と言う可能性もあるでしょ」
彼の言うことには一理あるとは思うが、もう買ってしもたし・・・
フランス人のように正直になれない
さらに追い打ちをかけるように、彼は
「前の先生には結局、どういって辞めたの?」
「『仕事が見つかりました』っていうた」
「なんで、そんなウソつくの! 正直に本当のこと言えばいいでしょ!」
えーーー! 本当のことなんて言えない!
だいたい闘いたくないもん。
すると彼は、
「なにも闘いじゃない。
素直に正直に、『ちょっとあわないので辞めます』と言えばいいのに!」
と言いながら、「ちょっとあわないので」というところで、膝をまげるしぐさをした。
彼にすれば、それが謝罪のしるし、お辞儀の代わりなのだろう。
それはそうかもしれないが、そんな言い方をすれば気まずいではないか?
何があわないのか、説明責任が生まれてはこないか?
「もーう!まったく日本人なんだから!」
と彼は毒づく。
そうだよ、私は日本人だよ。
あんたたちみたいに、王様の首をちょん切ったりしないのだ。
うやむやに、なんとなく、終わればそればいいのだ。
私は、芦屋カロルのパイ詰め合わせをしっかりと抱えて、初レッスンに挑んだのであった。